ある日突然会社を首になり、社員寮からも追い出される。
無職のうえに無宿だ。今夜寝るところもない。
住所がないと仕事も探せない。
あとは野垂れ死にが待っているだけ。
そんな彼らに手を差し伸べたのはネットカフェで働いている人たち。
たいそうな肩書も稼ぎもない。この世界の片隅に生きる人たち。
そんな人たちが「無宿」の人たちを助けた。
そんな人たちのなかに彼がいる。仮に名をTさんとしよう。
Tさんはずいぶん長いこと「ひきこもり」をしていた。
ずいぶん長いこと苦しんだ。
それから、あるきっかけで「ひきこもり」を脱した。
それからゲームセンターやネットカフェでバイトをした。
そして今は生活困窮者支援の活動をしている。
「無宿」の人たちをなんとか行政の支援につなげる。
Tさんは今、あるNPOの役員をしている。
でも、報酬はほとんどない。あいもかわらずアルバイト生活だ。
ひきこもりで社会からこぼれ落ちたTさんが今、
社会からこぼれ落ちた「無宿」の人の手を引き上げる。
そのうちまたそんなTさんに会いたいと思う。
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