人参お化け  そして鬱病になったら逆立ちして世界を見ろ | 黄昏黒猫屋敷ー布人形とイラストの小部屋

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世間からかなりずれている管理人、黄昏黒猫堂こと黒猫が自作人形やイラストを発表しつつ、ニート、ひきこもりなど生きずらさを考える。(画像一覧で作品を見ていただけるとうれしいです。)

人参お化け。河童の芋銭として知られる画家、小川芋銭は野菜を妖怪風に描いた作品を残しています。僕もまねっこをして、人参のお化けを作ってみました。実はこれ、逆さにするとイカに見えるんです。妻に、「これ人参なのかな、それともイカなのかな。」と聞くと、「う~ん、確かにイカにも見えるけど、やっぱり人参でしょ。」と言うので、人参ということにしました。でも、逆さにすると、やっぱりイカに見えるんです。

 

 かつて僕は鬱病になりました。どうして鬱病になったのかは、話すと長くなるので、いずれ機会があれば書いてみようと思いますが、今日はそれにはふれません。ただ、確かに僕は鬱病になって仕事も休み、治らなかったら僕と妻、まだ幼い子供たちはどうなってしまうのだろうと不安な療養生活を送りました。絶望的な気持ちになって、死を考え、「命の電話」に電話したこともあります(一度もつながりませんでしたけど)。

 薬を飲んで症状も落ち着いてきたころ、ふと思いました。これからどうなるのかはわからないけれど、鬱病になったということは、少なくとも今までのやり方は通用しなくなったということだと思いました。僕の心と、僕が身を置いている状況がズレていて、今まではそれを誤魔化してなんとかやってきたけれど、たぶん、もうそれはできない。じゃあ、いったい僕はどうすればいい。このままじゃ、おそらく復職しても続かないような気がする。転職するにしても、それでは解決しないような気がした。なにか根本的なところが変わらないと、どうにもならない。そんな気がしてなりませんでした。

 学生だった頃に読んだことのある本の中で、インディオの呪術師が、「座ったまま逆さになって世界を見て見ろ。そうすればお前が知っている世界が実はまるで違っていることに気付くだろう。」と言っているのを思い出しました。何でまたそんなことを思い出したのか不思議ですが、書棚の隅で眠っていたその本を引っ張り出して、あれこれ思いめぐらしているうちに、ふいに頭の中にまったく別方向から飛び込んで来た言葉がありました。それはガリレオ・ガリレイの「世界は数学の言葉で書かれている。」という言葉でした。その時、僕は逆さまになった気がしました。自然現象はすべて数学で説明される。これは自然科学を学んだ者には当然すぎることですが、僕はこのことを理屈でしか受け取っていませんでした。でも、その時、初めて体で感じた気がしました。目の前に見えているすべてを数式が貫いている。人間だって例外じゃない。僕は数学の言葉で書かれている。世界が逆さまになりました。

 それは奇妙な体験で、それから僕はいろいろな本を読み漁り、世界を横から見たり、斜めから見たり、裏から見たり、世界を見る目をシフトチェンジさせていきました。何だか世界は万華鏡のようだな。こんな世界でつまらないことにこだわって生きるのは、とにかくもったいない。それは僕をずいぶん生きやすくしてくれたと思います。とりあえず復職し、部署も別な分野に配置換えとなり、治療を受けながら仕事をなんとかこなしながら、回復していきました。でも、そこはアニメ、ゲーム世代。最後の決定打は、アニメの「フェイト・ゼロ」や「フェイト・ステイナイト」だったりします。そのあたりのこともいずれ書いてみたいと思います。

 実は鬱病には完治というものがありません。今の僕は「寛解」という状態で、とりあえず普通にしていますが、いつ再発するか分かりません。昨日の記事で書いたようなことも時々あります。危なくなったら、逆立ちします。

 

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