心が失速するとき 動けない | 黄昏黒猫屋敷ー布人形とイラストの小部屋

黄昏黒猫屋敷ー布人形とイラストの小部屋

世間からかなりずれている管理人、黄昏黒猫堂こと黒猫が自作人形やイラストを発表しつつ、ニート、ひきこもりなど生きずらさを考える。(画像一覧で作品を見ていただけるとうれしいです。)

目が醒めた。

でも体が1cmさえ動かない。

ちがう、体が動かないのじゃない。

心が動かない。

 

まるで失速したようだ。

失速した心は、どこまでも沈んでいく。

深い海の、日の光も届かない暗闇に、沈んでいく。

ゆっくりと、ゆっくりと。

 

時々あることだ。

うつ病で苦しんでいた時は、毎日がこうだった。

こんな時は、いつも、またああなるのかと思う。

今日も、そう思った。

 

心も体も1mmさえ動かない。

それでいて、ゆっくりと沈んでいく。

危ないんだ。こういう時は。

深い沈黙の入り口にいるのを感じた。

 

そういえば、今日は保護猫ハウスにキャットフードを送るんだっけ。

何も考えるな。とにかくキャットフードを送ろう。

やっとの思いで体を起こして、僕は出かけた。

もう昼は過ぎ、2時になっていた。

 

ぼんやりしながらコンビニからキャットフードを送る。

体は動いてるけれど、心は失速している。

何かきっかけが必要だ。

それがないと僕は暗闇に落ちる。

 

手芸店に幽霊のように入る。

誰か合図をくれないか。ほんの少しでいいから。

ふと、何に使うか知らないけれど、妙に気を引く糸玉があった。

それを手に取った時、浮力を感じた。

 

この糸を使って人形を作りたいな。

そんな思いが心を1cm動かした。

その動きは少しずつ加速していく。

完成形の人形は頭にはない。

でも、糸が僕を確実に引っ張っていく。

どうやら、僕は動けそうだ。大丈夫。

 

今はもう通常モードに戻っている。

でも、簡単に考えないで欲しい。

僕がこんな心の動かし方を掴みとるまで、

心はどれだけ血を流したか。

 

僕は幸運だ。運よく自分を導くものを手に入れた。

それができず、どれほどの人々が苦しんでいるか。

合図が必要なんだ。でも、その合図がどこから来るか、

誰もわからないんだ。

 

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