息子が知った貧困の現実 | 黄昏黒猫屋敷ー布人形とイラストの小部屋

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世間からかなりずれている管理人、黄昏黒猫堂こと黒猫が自作人形やイラストを発表しつつ、ニート、ひきこもりなど生きずらさを考える。(画像一覧で作品を見ていただけるとうれしいです。)

 息子が定時制高校に入ってからも、地元の友人たちとのつながりは続いていた。週末は息子の部屋に集まってゲームをしたりして過ごしていた。みんな全日制高校に進学していたが、息子もみんなも定時制、全日制のことなど気にかけている様子はなかった。まあ、不登校の息子と付き合っていた連中だから、そんなことは関係ないのだろう。

 一方で、息子は定時制でも親しい友人ができた。定時制には中学時代に不登校だった生徒も何人かいたが、不思議と彼らとの付き合いはなく、学業不振で定時制に入学してきた生徒と親しくなって、駅までの帰り道にコンビニの前で話をしたり、金曜の夜には彼らのひとりの家でゲームをして、夜遅く帰ってくることもあった。

 「俺は勉強をしっかりやれば大学に入れるんだろう。」と言う息子に、「ああ、もちろんだ。」と言うと、「俺は恵まれているな。奴ら進学したくてもできないんだよ。」と息子は言った。地元の友人たちはみな戸建て住まいだが、定時制の友人たちは狭いアパート住まいで、生活は楽ではなく、彼らは進学したくてもできないのだ。せめて高卒の資格をとって、なんとか就職できるようにしようとしている。

 定時制の生徒は低所得の世帯の子が多い。学業不振も貧しさ故と考えられるケースがある。貧困の連鎖というやつだ。親の教育水準の低さが、そのまま子供に引き継がれてしまう。かつて国公立大学の学費が嘘のように安かった頃は、この連鎖から抜け出すチャンスもあったが、現在の国公立大学の学費はけっして安くはない。それで貧困が固定化されてしまう。貧困は壁のように子供たちの前に立ちはだかる。夢を見ようにも見られない。夢の見方も学べない。そんな彼らに学習意欲を要求するのは酷なことだ。学業不振から不登校になったり、ひきこもりになることもある。それは希望が持てないからだ。

 息子はその頃、映像制作に興味を持っていた。「勉強すれば進学できるのは恵まれてるな。」、そう言って息子は勉強した。

 

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