仮想世界を駆け抜ける娘 | 黄昏黒猫屋敷ー布人形とイラストの小部屋

黄昏黒猫屋敷ー布人形とイラストの小部屋

世間からかなりずれている管理人、黄昏黒猫堂こと黒猫が自作人形やイラストを発表しつつ、ニート、ひきこもりなど生きずらさを考える。(画像一覧で作品を見ていただけるとうれしいです。)

 うちのひきこもり娘はオンラインゲームの中で魔導士をしている。誰とも関わりを持たないソロプレイヤーだけれども、このところ変わってきた。レイド(集団戦)を娘がリードしているのだ。モンスターとプレイヤーたちの最前線で、傷ついた者のダメージを魔法で回復し、死んだ者を蘇生させる。そしていろいろな効果魔法を使ってプレイヤーたちをアシストする。

 「防御力の弱い魔導士が前面に出るのは危ないんじゃないか。」と言うと、

 「後ろにいたんじゃ効果的に味方をアシストできない。それから、モンスターの攻撃はかわせばいいだけ。だから、防御力なんて関係ない。」と答える。娘は案外すばしこいようだ。

 実生活ではひきこもっているけれども、オンラインゲームの世界では見事に他のプレイヤーと連携して、むしろレイドの核になっている。そして楽しむことの下手な娘がとても楽しんでいる。現実世界でもこの調子で、と考えるのは娘にとって押しつけでしかないだろう。大切なことは、今娘がたのしんでいることだ。出口は見えなくても、これが入口だ。娘のためを思ってということは、おおよそ僕にとって都合の良い娘像の押しつけだ。今、娘は楽しんでいる。それでいい。

 ボスキャラを倒した後、娘はひとりのプレイヤーとしばらく並んで立っていたいた。会話は交わさなかったけれど、娘は少し嬉しそうだった。

  ところで同じ時、同じ場所にログインしていた息子はどうしていたのか。息子は一撃必殺のアタッカーなので、少し離れて間合いをとって、ひたすらチャンスを待っていた。しかし息子の出る幕もなくボスキャラは倒された。娘の活躍を見て、息子は「俺も魔導士やりて~。」と言った。

 今はこれでいい。それじゃ、いつまで。さあ、それはわからない。ただ、期限を切って、それにこだわるのは、なんか、違うような気がする。

 

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