宇宙飛行士
「こちら宇宙船・ジーニアス。
 まもなく月に着陸します。」

オペレータ
「こちらNASA。
 了解しました。」

宇宙飛行士
「機体は月面に着陸。
 これよりアームストロング船長以来、
 実に54年ぶりに月に降り立ちます。」

オペレータ
「よろしくお願いします。」

足音
「トサッ・・・トサッ・・・。」

オペレータ
「準備が出来次第、
 映像をこちらに繋げてください。」

宇宙飛行士
「・・・あ。」

オペレータ
「どうしました?」

宇宙飛行士
「・・・。」

オペレータ
「月面の映像をお願いします、どうぞ。」

宇宙飛行士
「・・・こ、
 ・・・こちらジーニアス。」

オペレータ
「はい。
 どうしました?」

宇宙飛行士
「・・・突然で申し訳ないですが、
 クマに遭遇した時の対処法の検索をお願いします。」

オペレータ
「・・・クマですか?」

宇宙飛行士
「・・・はい、早急にお願いします。」

オペレータ
「・・・。」

宇宙飛行士
「・・・。」

オペレータ
「・・・え、クマいたんですか?」

宇宙飛行士
「はい・・・。」

オペレータ
「月にですか?」

宇宙飛行士
「はい・・・。」

オペレータ
「ウサギではなく?」

宇宙飛行士
「クマです。」

オペレータ
「ツキノワグマですか?」

宇宙飛行士
「わかんないです。」

オペレータ
「ヒグマですか?」

宇宙飛行士
「ごめんなさい!
 私、クマ博士じゃないので。」

オペレータ
「クマ博士じゃないのか・・・。」

宇宙飛行士
「あと、最初の『ウサギではなく?』って質問、何ですか?」

オペレータ
「今、どんな状況でしょうか?」

宇宙飛行士
「お互い目を合わせたままの状態です。」

オペレータ
「映像お願いします。」

宇宙飛行士
「無理です。
 撮影端末に手を伸ばせません。」

オペレータ
「とりあえず落ち着いて、冷静になりましょう。」

宇宙飛行士
「・・・はい。」

オペレータ
「目の前にいるのは本当にクマですか?」

宇宙飛行士
「クマです。」

オペレータ
「ウサギではなく?」

宇宙飛行士
「クマです。
 ウサギだったら何なんですか?
 『それなら月にいても仕方ない』とか言い出しそうで怖いんですけど。」

オペレータ
「まだクマは静止している状態ですか?」

宇宙飛行士
「はい。」

オペレータ
「もし、襲われたときはNASAでの訓練を思い出してください。」

宇宙飛行士
「ごめんなさい。
 クマに襲われたときの訓練なんかしてないです。」

オペレータ
「あぁ、やってなかったか・・・。」

宇宙飛行士
「それともアレですか?
 最期は人生で一番楽しかった思い出に浸りながら
 締めくくってくださいってことですか?」

オペレータ
「改めてクマについて質問させてください。」

宇宙飛行士
「どうぞ。」

オペレータ
「大きさはどれくらいですか?」

宇宙飛行士
「2メートルほどです。」

オペレータ
「立ってますか?
 座ってますか?」

宇宙飛行士
「立ってます。
 上から私を睨みつけてます。」

オペレータ
「立った状態で2メートル。」

宇宙飛行士
「はい。」

オペレータ
「1頭ですか?」

宇宙飛行士
「はい。
 1頭だけです。」

オペレータ
「ちなみに、今ジーニアス号からどれくらい離れてますか?」

宇宙飛行士
「5メートルほどです。」

オペレータ
「では、目を合わせたままジーニアス号まで下がりましょう。」

宇宙飛行士
「わかりました。」

オペレータ
「そのまま、クマもジーニアス号に乗せて帰還してください。」

宇宙飛行士
「鬼ですか?」

オペレータ
「クマです。」

宇宙飛行士
「いえ、あなたがです。」

オペレータ
「サイズ的にクマ1頭なら入ります。」

宇宙飛行士
「だからサイズ聞いたんですか?」

オペレータ
「月に棲むクマってどんな感じなのか見たいです。」

宇宙飛行士
「好奇心は結構ですけど、クルー全滅しますよ。」

オペレータ
「あ。
 今、こちらで新たな展開がありました。」

宇宙飛行士
「なんですか?」

オペレータ
「今からそちらに地元のマタギの方を載せたロケットを打ち上げます。」

宇宙飛行士
「地元のマタギの方?」

オペレータ
「はい。
 テキサス・マタギの会の会員の方です。」

宇宙飛行士
「『テキサス・マタギの会』?」

オペレータ
「いま打ち上がったんで、到着を待ってください。」

宇宙飛行士
「ごめんなさい。
 その前に、『テキサス・マタギの会』ってなんですか?
 あるんですか?マタギの概念。テキサスに。」

オペレータ
「まもなく到着すると思うので。」

宇宙飛行士
「あの・・・、
 マタギの方に簡単に月に着陸されると、
 私の月面着陸がかすむんですけど。」

オペレータ
「クマが出た時点で既にかすんでるんで、大丈夫です。」

宇宙飛行士
「大丈夫ですってなんですか?」

オペレータ
「あ。」

宇宙飛行士
「どうしました?」

オペレータ
「マタギの方、猟銃忘れてますね。」

宇宙飛行士
「最悪じゃないですか。
 手ぶらのおっさんがこっちに向かってるってことですか?」

オペレータ
「あ。
 これ偶然なんですけど、いま向かってるマタギの方、
 アームストロングって名前なんです。」

宇宙飛行士
「どうでもいいです、そんな情報。」

オペレータ
「猟銃はなくても
 素手でなんとかしてくれそうじゃないですか?」

宇宙飛行士
「アームストロング・・・。
 まぁ、腕っぷしは強そうですけどね。」

 

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

ちょっと前にクマ出没が話題になったので。

 

リアルな話題を使うときは、

思いっきり現実離れしたものと組み合わせる手法。

この11年半で培った技術です。

 

さて、12月30日から1月5日までは

2023年のお気に入りコントを毎日更新していきます。

 

今年もありがとうございました。

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【お題コント】日焼け
【コント】サザエさん
【お題コント】誕生日
【コント】金太郎
【コント】目玉のおやじ

 

 

 

【コメント募集中】

今後のコント作りの励みになるので、ぜひ、感想をお聞かせください。

 

【実演したい方へ】

本ブログのコントは自由に演じていただいて構いません。

アレンジや改変も自由です。

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