美術館館長
「運慶先生、快慶先生。

 あ・うんの像、好評ですよ!」

運慶
「それは何より。」

美術館館長
「二つの像の姿も圧巻なのですが、『あ・うん』のネーミングもいいですよね。
 非常にしっくりくるんです。」

快慶
「そう言ってもらえると、自信につながります。」

運慶
「実は次回作ももう出来上がってるんだ。」

美術館館長
「本当ですか?!」

運慶
「これなんだが・・・(幕を開けると2体の像が立っている)」

美術館館長
「おぉ!今回も2つ1組の像なんですね!
 名前はなんと・・・?」

快慶
「こちらです。」

 

 

『え・なに』

 

 

快慶
「どうですか?」

美術館館長
「・・・。」

快慶
「・・・。」

美術館館長
「・・・ん?」

快慶
「左が『え』で
 右が『なに』。」

美術館館長
「え・・・、なに?」

快慶
「そう。
 『え・なに』。」

美術館館長
「いや、名前を復唱したんじゃなくて・・・、
 名前に対するリアクションなんですけど・・・。」

運慶
「んー、やっぱりダメみたいだよ、快慶。」

快慶
「ダメみたいですね・・・。」

美術館館長
「お二人もこの名前に疑問はあったんですね。」

運慶
「名前は快慶がつけるんだけど、
 前回の『あ・うん』があまりにも会心のネーミングだったから、
 ちょっとプレッシャー感じてて・・・。」

美術館館長
「あぁ・・・、スランプですか。」

快慶
「今1つ思いついたんですが、これはどうですか?」

美術館館長
「どうぞ。」



『ぐりとぐら』


美術館館長
「・・・。」

運慶
「・・・。」

快慶
「・・・。」

美術館館長
「あー・・・。」

運慶
「『あー・・・』って言われたよ、快慶。」

快慶
「『あー・・・』って言われましたね、運慶。」

美術館館長
「あ、ごめんなさい!
 そういうリアクションがプレッシャーになるんですよね・・・!」

運慶
「いや、でも率直なリアクションだから・・・。」

快慶
「こういうのはどうですか?」

美術館館長
「どうぞ。」

 


『メ・ゾン』


美術館館長
「・・・マンションですか?」

運慶
「『あ・うん』に寄せてみたんだよな!
 頑張ったんだよな!」

美術館館長
「無理に寄せる必要ないですよ。」

快慶
「『あ・うん』の出来が良すぎた。」

美術館館長
「確かに良すぎました。
 でも、それを超えていかないと。」

快慶
「これはどうですか?」

美術館館長
「どうぞ。」



『ば・ふん』


美術館館長
「うん、一旦、『あ・うん』忘れましょうか。」

運慶
「そうだな、快慶、忘れよう。」

美術館館長
「『ば・ふん』って名付けられた彫刻もかわいそうですし。」

快慶
「『あ・うん』の出来が良すぎた。」

美術館館長
「良すぎたのはわかったんで、
 そろそろちゃんとしたやつお願いします。」

快慶
「あ、これどうですか?」



『あ・うん第2章』


美術館館長
「それダメなヤツです。
 『あ・うん』しか出せない体になっちゃうやつです。」

快慶
「方向性まるまる変えていいですか?」

美術館館長
「どうぞどうぞ。
 そっちの方がむしろいいアイディアが出てくるかもしれません。」



『せいやと粗品』


美術館館長
「(粗品のポーズで)センターマイクが必要!!」

快慶
「ちょっと時間ください。
 思いつく限りの案を出します。」

運慶
「その方がいいよ。」


(15分後)


運慶
「快慶に部屋にこもってもらって、
 命名案をいっぱい出してもらいました。」

美術館館長
「なんかすみません。
 ・・・それで、快慶さんは?」

運慶
「『脳を使い果たした』とのことで、奥の部屋で休んでます。」

美術館館長
「知恵熱出ちゃいましたか。」

運慶
「(紙を取り出し)では、案を読み上げていくんで、
 いいのがあったら止めてください。」

美術館館長
「わかりました。」

運慶
「えーと・・・。」

 

 

『ハブとマングース』。


美術館館長
「ちょっとすみません。」

運慶
「お、いきなり決まりですか?」

美術館館長
「違います。
 そんな会心の出来ではないです。」

運慶
「では、なんでしょう。」

美術館館長
「一発目がそれだと、
 この後が思いやられるんですけど。」

運慶
「雑多にアイディア出しをしたので。
 とりあえず続けます。」

美術館館長
「・・・お願いします。」



『嫁と旦那』


美術館館長
「夫婦喧嘩かな・・・。」



『ペリーとハリス』


美術館館長
「黒船・・・?」



『関口と三宅』


美術館館長
「どっちがどっち・・・?」



『千葉と神奈川』


美術館館長
「二番手争い・・・。」


『ANAとJAL』


美術館館長
「スポンサーですか・・・?」



『ソードとシールド』


美術館館長
「2バージョン・・・?」



『ダイヤモンドとパール』


美術館館長
「2バージョン・・・?」



『ルビーとサファイア』


美術館館長
「・・・これ絶対、遊んでたな。」



『赤いきつねと緑のたぬき』


美術館館長
「お湯かけられそう・・・。」

運慶
「(紙をしまいながら)どれがいいですか?」

美術館館長
「最後まで質が変わらなかった!」

運慶
「わたしは『ANAとJAL』あたりがいいかなと思いましたが・・・。」

美術館館長
「なんでそれがいいと思ったんですか!」

運慶
「発想の突飛さとか。」

美術館館長
「確かに飛んでますけど。」

運慶
「(紙を見ながら)どれがいいかなぁ・・・?」

美術館館長
「『ハブとマングース』がまともに見えてきた自分が怖いんですけど。」

運慶
「あ、『ハブとマングース』にします?」

美術館館長
「しないです!
 ファンが戸惑いますよ!
 『あ・うん』の像に感動したファンが!」

運慶
「(外を見て)あ、今、『あ・うん』の像を見てる人がいるから、新作を見てもらいましょう。
 そのあと、名前を発表してどういうリアクションするか(声をかけにいく)。」

美術館館長
「・・・絶対、とまどうと思うな。」


「(やってくる)一足先に見せてもらえるんですか?!」

運慶
「どうぞどうぞ。
 率直な意見を聞きたくて。」

美術館館長
「こちらです(像を見せる)。」


「わぁ!また2つ1組の像なんですね!
 これ、名前は・・・?」



『ハブとマングース』



「・・・。」

運慶
「・・・。」

美術館館長
「・・・。」


「あ・・・、うん・・・。」

美術館館長
「ほら、やっぱり戸惑った。」

 

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

あ・うんの像が別の名前だったら・・・というところからひたすらアイディア出しをしていったコントです。

他にもいろいろ答えはありそうですね。

 

【上演メモ】

人数:4人

運慶

快慶

美術館館長

 

所要時間:4分~5分
上演難易度:★★☆☆☆
備考:快慶役の人と客役の人が同時に舞台上に上がることはないので、3人でもできそうですが、

一人二役であることをわかるように工夫しないとお客さんが混乱するかもしれません。

 

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】未知との遭遇
【コント】ウサギとカメ
【コント】取り調べ#3
【コント】西遊記
【コント】テレビショッピング

 

 

 

【コメント募集中】

今後のコント作りの励みになるので、ぜひ、感想をお聞かせください。

 

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