女性看護師
「(走ってくる)先生!急患です!
 この病院の近くを通りかかったときに、急に陣痛が来たそうです!」


医者
「わかった。急いで分娩室に運んでくれ!」


女性看護師
「はい!(外に走っていく)」


担架の音

「ガラガラガラガラ・・・」


医者
「お、来たかな?」


担架の音

「ガラガラガラガラ・・・
 (外から担架に乗せられた宇宙人が分娩室に運ばれていく)」


医者
「(担架で運ばれていく宇宙人を眺めて)・・・えぇ~・・・
 多分だと思うけど、あれ宇宙人・・・?
 宇宙人に陣痛が来たの・・・?」


医者2
「(やってくる)ねぇねぇ。駐車場にUFO停まってるんだけど、何かあったの?」


医者
「UFO、駐車場に停めたんだ・・・」


医者2
「うん。軽の駐車場に停まってたよ。」


医者
「UFOって軽扱いなんだ。」


医者2
「何があったの?」


医者
「何か病院の近くを通りかかったところで陣痛が来たんだって。」


医者2
「へぇ・・・。何?担当するの?」


医者
「そうだけど・・・。あ、そうだ!代わりに担当してくれない?」


医者2
「え?俺が?!」


医者
「いや、僕、宇宙人の出産ってやったことなくて・・・」


医者2
「いや、俺だって経験ないよ。」


医者
「たのむよ。今度おごるから。」


女性看護師
「先生!旦那さまがいらっしゃいました!」


医者
「わかった。
 (医者2に)僕は旦那さんに付き添うから、奥さんの方、たのむよ。」


医者2
「わかったよ・・・。絶対、今度おごれよ?(分娩室に入っていく)」


医者
「あぁ!」


宇宙人
(ソワソワした様子でやってくる)


医者
「あ、旦那様・・・ですか?
 旦那様ですよね・・・?」


宇宙人
(うなづく)


医者
「居ても立っても居られないかもしれませんが、今は待つしかありません。
 ゆっくり待ちましょう。」


宇宙人
(うなづき、ソファに座る)


医者
「第一子ですか?」


宇宙人
(うなづく)


医者
「それは緊張しますね。」


宇宙人
(ソワソワしつつ、カバンから雑誌を取り出し、読み始める)


医者
「何読んでるんですか?」


宇宙人
(雑誌の表紙を見せる)


医者
「えーと・・・?『たまごクラブ』?」


宇宙人
(うなづく)


医者
「あー、なるほど。
 ・・・たまひよ、宇宙人も読むんだ・・・。」


女性看護師
(分娩室から飛び出してくる)


医者
「どうした?」


女性看護師
「大至急、輸血が必要です!!」


医者
「血液って言っても・・・
 あ、旦那様、輸血に協力していただけませんか?」


宇宙人
(医者に耳打ち)


医者
「え?普段から貧血気味で、輸血できるほど血がない?」


宇宙人
(うなづく)


医者
「え~・・・
 かといって、宇宙人に地球人の血液、輸血してもいいのかな。」


宇宙人
(医者に耳打ち)


医者
「え?宇宙人はみんなAB型?」


宇宙人
(うなづく)


医者
「(女性看護師に)だったら倉庫に献血の血液があるから、それを使いなさい。」


女性看護師
「わかりました(倉庫に走っていく)」


医者
「知らなかった・・・。
 宇宙人て全員AB型なんだ・・・。
 あれかな。ゴリラの血液型が全部B型みたいなものかな。」


宇宙人
(ソファを立ち上がり、ウロウロし始める)


医者
「落ち着かないですよね。
 でも、ここは静かに待つしかないですよ。」


宇宙人
(ソファに座り、カバンの中からパンフレットを取り出す)


医者
「ん?今度は何を読んでるんですか?」


宇宙人
(医者にパンフレットを渡す)


医者
「『赤ちゃんの産毛で筆を作ります』・・・。
 この文化って日本だけじゃないんですね。」


宇宙人

(ソファを立ち上がり、ウロウロし始める)


泣き声
「(分娩室から)オギャー!オギャー!!」


宇宙人
「っ!!」


医者
「あ!産まれたんじゃないですか?!」


女性看護師
「(分娩室から出てくる)おめでとうございます!
 カワイイ双子の女の子ですよ!」


医者
「双子ですって!やりましたね!お父さん!!」


宇宙人
(頭をかく)


医者
「母子ともに健康ですか?」


女性看護師
「はい!」


医者
「よかったですね!」


宇宙人
(医者に耳打ち)


医者
「え?もう名前、考えてあるんですか?」


宇宙人
(うなづく)


医者
「お姉さんは?」


宇宙人
(医者に耳打ち)


医者
「『茉奈』。妹さんは?」


宇宙人
(医者に耳打ち)


医者
「『佳奈』。へぇ・・・
 宇宙人にもマナカナの概念があるんですね・・・」


宇宙人
(医者と握手)


医者
「早く奥さんと会ってあげてください。」



(分娩室から担架に乗った母宇宙人がやってくる。
 両手に赤ちゃん宇宙人を抱えている)



宇宙人
「!!」


医者
「よかったですね!娘さんたちですよ!」


茉奈佳奈
「ゎ・・・」


医者
「ん・・・?」


茉奈佳奈
「ゎ・・・ゎゎ・・・」


医者
「あ!もしかして、もう何かしゃべろうとしてるんじゃないですか?!」


宇宙人
「!!」


茉奈佳奈
「ゎ・・・ゎゎゎ・・・」


医者
「・・・?!」


宇宙人
「・・・?!」


茉奈佳奈
「ワレワレは宇宙人だ!!」


医者
「うん!知ってる!!」









【コント・セルフ・ライナーノーツ】

こういう形の宇宙人との出会いがあってもいいじゃないという提案です。

近い未来、本当にあるかもしれないですね。