狐に化かされたという話・・・迷信?それとも野良狐? | 古民家の雑貨屋 アート工房 風 ふうさんの手しごと日和

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昨日、父と母が、『狐に化かされた』と言う話しで

盛り上がっていた。

 

 

まだまだ、不思議が息づく里山での話。

 

近所にある『狐ごせ』(狐の林)がきれいに刈り取られ

ソーラーパネルが並べられていた。

 

 

そう、昔から村の中に有るうっそうとした林。

そこを、『狐ごせ』と言ってみんな恐れていた。

 

化かす狐が出るからだと言う。

 

それがきれいに開墾され、跡形もなく

林が無くなった。

 

 

化かす狐はどこに行ったのか?

 

迷信が生きていた江戸時代の話じゃない。

昭和の時代にも、村の皆は本気で信じていた。

 

村の中には、何人も狐に化かされたという人がいる。

(ひと世代前の人だけど・・・)

 

 

かくいうウチのひい婆さんも、狐に化かされた

と主張する一人。

 

娘のころに、山へ山菜取りに入り、帰り道が

解らなくなったときに、女の人が提灯を下げて現れ、

着いてくるように言うから、後をついていくとドンドン

山奥へ連れて行かれた・・・という。

 

これは狐に化かされていると気づいて、川つたいに

下山したらようやく村の明かりが見えてほっとした

という・・・。

 

 

子供心にそんな話を聞いて、『狐って恐ろしい~』

と思っていた。

 

以来、ひい婆さんは一人で山へ入るのが怖くなり

孫たち(父や叔父)を連れて、山菜やマツタケ取りに

出かけていたという。

 

しかし有るとき、一緒に連れて入った孫(叔父)が

狐に化かされて連れて行かれるところだったという。

 

 

「ええか、ここに居れよ、動いたらいけんよ!」

そう言いながらマツタケ取りをしていたひい婆さん。

 

しばらくして、振り返ると孫が居ない!

『こりゃあ、狐にかどわかされた!』と

血相を変えてあたりを探したら、山奥へと

ふらふら歩いている孫を発見した。

 

「動いたらいけん!と言うたじゃろ!

 なんで勝手に動いた!」

青くなりながら婆さんが訪ねたら

「だって、お母ちゃんが迎えに来たから・・・。」

と叔父は答えたそう・・・。

 

『こりゃ、狐の奴が化けたな!』

それ以来、ばあさんは、山へ孫を連れて

行かなくなったらしい。

 

 

こんなファンタジーな話があるんかいな?

と思っていたが、村の中には消防団長を

務めたような人や、チンピラも恐れるやヤクザな

おっさんも『狐が化かした!』という・・・。

 

あるとき、夜遅くに消防団長が次の日の

弁当のおかずにとアゲを買って自転車の

後ろの荷台に括り付けて帰宅していたらしい。

 

そうしたら、狐ごせに差し掛かるととたんに

自転車が重くなる。

 

『これは、狐の奴がアゲを狙っているな!』

元気な消防団長は、後ろの荷台を蹴り上げた。

 

『ボソッ』という音がして、何かが林の中に

落ちる。

 

しばらくするとまた、自転車が重くなる。

 

何度も蹴り上げるが、相手もあきらめない。

 

そんな攻防戦の末に、はっと気が付くと

どこをどう走っているのか解らなくなった。

まったく方向が解らなくなるのだと言う。

 

 

『これは狐に目隠しをされたな!』

消防団長、慌てずに煙草に火をつけようと

ポケットからマッチを取り出す。

『獣は火を嫌うはず・・・。』

ところが、火をつけた途端に『ふっ』と吹き消される。

 

何度も、何度も繰り返しながら、何度目かに

やっと煙草の先に火が付いた。

 

スパスパやっているうちに、あたりが見えるようになり

自分の現在地が解ったという。

道を外れて、山の方へと入っていたらしい。

 

 

もう一人のヤクザなおじさんも、その名を聞けば

チンピラが震え上がると言うほどの強面おじさん。

 

「まず、人間ならわしに刃向うやつはいない。

 しかし、狐だけはわしの怖さを知らんから、

 化かそうと何度もやって来るんじゃ、何度

 蹴りまわしても、しつこく襲ってくる。まったく、

 獣というやつには参った。ワシの恐ろしさも

 通用せんな・・・。」

 

夢見がちな少女が、狐に化かされた!と

言ったらな、『ファンタジーじゃな~』で済ませれる

が、いづれも怖いモノ知らずの、おっさんばかり。

 

 

こんなおっさんたちが、そんなファンタジーな

作り話をするだろうか?

 

山に住んでいる普通の狐が、人を化かす

と言うのはちょっと考えにくい・・・。

(たとえ、江戸時代であっても・・・)

 

そこで思うのは、はぐれ狐になった神社の使いか

野良狐(低級な自然霊)であったなら、ちょっとは

納得がいく話になる。

 

 

昔話にも、地方の民話にもよく見る

『化け狐』のお話・・・。

 

これは、本当は野良狐たちのイタズラ

だったのではないのかな?って思う。

 

 

村の『狐ごせ』あそこを根城にしていた

化け狐は、ソーラー基地になった土地を見て

どう思ったのかな?

 

それとも、どこかへ引っ越しただろうか?

 

 

不思議が息づく、里山のお話でした。