プロレスラーの魅力ってなんだ!? | 俺ってデビルマン!?

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知ってる人は知ってるし、知らない人はまったく知らない…私、元・週刊ゴングの鈴木淳雄と申します。かつて所属していたプロレス業界に限らずに、今現在の私をありのままに記していきたいと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。


 全日本プロレスの各タイトルマッチが組まれた3/30大田区大会。試合内容は見ていないので何とも言えないのですが、試合後の動き&コメントに興味深いものがいくつかあったので、ここでご紹介しておきたい。


 まずはアジアタッグ。王者である大仁田、To-y組に佐藤光留、田村男児組が挑んだこの一戦。この試合が実現するにあたって、電流爆破バットマッチを要求したのは、何と王者の大仁田ではなく、挑戦者の全日本チームの方だった。


 そして試合は爆破バットを大いに有効活用して挑戦者チームが勝利し、見事に至宝奪還。全日本ファンにとっては本来なら喜ばしい事実のはずだが、問題なのは試合後の王者チームのコメントだ。


「全日本プロレス、全日本プロレスファン、全日本プロレスの選手、歴史、ガタガタうるせえよ、どいつもこいつも。何がスタイルだ。何が王道だ、何が闘魂だ。何だっていいんだよ! プロレスなんだよ、全日本プロレスだってよ。電流爆破はダメ? だったら、コーナーから飛ぶ技だって昔はダメだっただろ。今リングで起こっているものは全部プロレスなんだよ。そのリングの上で佐藤光留と田村男児が獲ったんだよ。俺たちがアジアタッグ獲った。これでいいんだよ。なあ、男児ちゃん。言ってやれよ」


「何がスタイルだかわかんねえけどよ。関係ねえんだよ、スタイルなんて。スタイルなんて関係ねえ。何でもありなんだよ、プロレスはよ」


 確かにリング上で何を提供しようが、どんな試合をしようと、それは団体、そして選手たちの自由だ。爆破デスマッチをやろうと、女子とのミックスドマッチをやろうと、それはその団体の自由。


 でも大事なことを忘れてはいないだろうか?それは見る側の人間には、提供されたものを選択する自由があるということを。


 昨年の全日本は爆破マッチも男女ミックスドマッチも積極的にやっていた。その結果、観客数はどうなった?そしてそれを止めたら、状況はどうなった?せっかく回復傾向にある状況でなぜまた爆破マッチを?そしてこの発言、また昨年の状況に戻したいの?


 まさか佐藤&田村のヒール転向宣言という訳ではないだろうが、この発言は全日本を支持するオールドファンの人たちを、一気に敵に廻す行為にもなりかねない。実際、このコメントを私が初めて目にしたとき、「だったらもう全日本も見るのを止めようか」と真剣に思った。


 ま、次はチャンピオン・カーニバルだし、たっぶりと王道プロレスを味合わせてくれそうなので、結論は先送りさせてもらうが、『プロレスは何でもあり、何をやろうと自由』と主張するのであれば、その結果どうなるのかも覚悟しておいた方がいい、ということ。


 全日本には全日本の歴史がある、それを否定するような行為は、それを愛して支持してきた人間たちは好まない。「別に爆破マッチもミックスドマッチも、選手たちがやりたければ全日本以外のリングで思う存分やってきてください。その代わり、全日本のリングには持ち込まないでください」、恐らく、全日本を永く支持してきた人間は、大半の人がそう思っていると思う。


 そしてメイン、“全日本の希望”ともいえる安齊優馬が、中嶋勝彦を下して史上最年少の三冠王者となった!がしかし、こちらもその試合内容を不満に思った一部ファンから、安齊がリング上で勝利のコメントしていた際にブーイングが飛んだという。


 その要因は試合の大半が中嶋の圧倒的な猛攻にあり、安齊は最後のジャンピング・ニーからのジャーマン以外、殆んど防戦一方だったことにあるようだ。つまり安齊は勝つには勝ったが、その勝利にまるで説得力がなく、そのブーイングを飛ばしたファンにとっては「真の王者として認められない」という評価に至ったのだろう。


 前述した佐藤&田村のコメントもそうだし、この安齊の試合内容にしてもそう。やるのは自由、試合後のコメントにしても自由、でもその一連の言動が人を惹き付けるものであったかどうかによって、その選手の評価&価値は大きく変わってくる。


 そのへんをこの日参戦していた鈴木秀樹が、実に的確に東スポに語っていた。


「プロレスの難しいところは、お客さんを納得して帰すこと。その納得というのが喜ぶ納得なのか怒りなのか、喜怒哀楽を持たせることをやらなきゃいけなくて、いまだに僕もできているかどうかわからないから続けているんでしょうけど。そういう(納得しない)お客さんの声があったなら、そういう試合だったんじゃないですかね」


「お客さんが答えを持っていますから。選手がどうこうじゃなくて。お客さんが受け入れなければ、ダメですよね。例えば今日のセミだと(ジュン&レイの)斉藤ブラザーズ、その前だとライジングHAYATO選手にお客さんの支持がある。そういうのを味方につけるのも、強さのうちですからね。お客さんの評価も強さのうち」


 プロレスラーとは、プロフェッショナルなレスラーを意味する。そのプロという二文字のなかには、闘技者としての純粋な強さもあるし、銭を払う人間を魅了して満足させる、という意味もある。その両方の才能に秀出てこそ、真のトップレスラーとなれるのである。強いだけでもダメだし、客ウケばかりを気にする人気取りでもダメ。


 力道山、ジャイアント馬場、アントニオ猪木、ジャンボ鶴田、天龍源一郎、藤波辰爾、長州力、三沢光晴、川田利明、武藤敬司、蝶野正洋、橋本真也、田上明、小橋建太…。時代を獲得したスーパースターたちがプロレスで何を魅せてくれたのか!? 時代が変わろうとも、何も変わらない部分もあることを現在のプロレスラーたちにも分かってほしい。


 独り善がりの思考では、真のプロレスにはなりませんよ、と。



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