プロレスクラシック~伝承~第36回TV観戦記 | 俺ってデビルマン!?

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知ってる人は知ってるし、知らない人はまったく知らない…私、元・週刊ゴングの鈴木淳雄と申します。かつて所属していたプロレス業界に限らずに、今現在の私をありのままに記していきたいと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。

 やっぱり面白いなぁ~!

 これが主力選手の大量離脱により、団体存亡の危機!?といわれた真っ最中のプロレス団体の興行だと、誰が思いますか?

 選手たちのなかには、まったく危機感はなかったことはないのだろうけど、それが悲愴感にはならずに、「俺たちがやるんだ!」という使命感というか責任感になっていたのだと思う。

 要は危機を迎えてもネガティブにはならず、ポジティブになっていた、ということ。これって言うのは簡単だけど、実際にやるのは大変なこと。

 それにしてもこの頃の全日本プロレスのレベルの高さって、尋常ではないですよね。だってこの頃の田上、小橋、菊地って、キャリア僅か2年半ですよ。信じられます? 

 それがこの堂々としたファイトぶり。しかも時代の寵児となった超世代軍は、当時はまだ全員が20代。でも立派にメインエベンターとしての役割を果たしてますよね。

 しかも確実に感動まで呼び込んでいる。クロファットからシングルで勝利を果たした小橋も、鶴田軍の強烈すぎる可愛がりに悶絶しながら果敢に向かっていく菊地も、どちらも本気で心から声援を送りたくなる熱いファイトぶり。これで人気が出なかったら嘘ですよ。

 それもこれも、鶴田の“怪物”と称された程の規格外の強さ、そして渕の巧妙なる憎々しさで、若き超世代軍を真っ向から受け止め、強烈に突き放すファイトがあったからこそ。やはり憎々しいまでに強い目標がいたからこそ、若き超世代軍の必死さ、というものが光ったのだといえるでしょう。

 若い選手を主役にして、でも強引に押し上げるのではなく、しっかりと叩くところは叩いて、じっくりと鍛え上げていく。簡単にスターにはなれない、そんな厳しさがあるからこそ、ファンも必死に応援していく。

 この後、全日本プロレスが奇跡の大復活、再浮上を果たすことも、今回のこの放送を見れば、誰でも素直に頷けるところです。

 選手たちがやりたいプロレスと、ファンが見たいプロレスが完全に一致している。その1つ1つの積み重ねが団体とファンの強固な信頼関係となり、客が客を呼んでいく、まさに最高な空間が出来上がっていったのです。

 現代プロレスがなぜジリ貧状態なのか、ここに答えがあると思いませんか? 「マニアが業界の成長を阻む」?それって、自分たちのやりたいことをただ正当化したいだけの言い訳でしょ?

 別に新しいことを取り入れて幅を拡げることは一概に悪いことではないと思うけど、それにも許容範囲というものは必ずあるし、何より長年支持してくれているファンを悪者にするような物の言い方は、絶対に間違っている。

 確かになかには度を越した発言をするファンはいるし、客だからと開き直って、やってはいけないことを平気でやってくる非常識な人間はいる。カスハラ(カスタマーハラスメント)なんて言葉が生まれるくらいだから、そこは客側に態度を改めさせる必要がある。

 でもそんな問題はどんな業界にもあるし、そういった客には冷静に、かつ的確に対処していくしかない。場合によっては告訴することだってあるかも知れない。でも、だからってマニアという一言で公の場で大勢を批判するなんて、それは逆に度を越している言動以外の何ものでもない。

 ファンあってのプロスポーツであるということを、決して忘れてはならない。別にオールドファンに媚びろと言っている訳ではないですよ。でも接し方というものがあるし、ものには言い方というものがあるよね、ってこと。

 そんな長年支持してくれているファンをないがしろにするような発言をする団体に、誰が熱意を持って応援していこう、なんて気持ちになりますか?それでも支持したいという人はいるのでしょうが、私は無理ですね。

 よく口の悪い頑固親父のいるお店が話題になったりしますが、私はそういう店には行きたくありません。いくら料理が美味しくても、不快な接客を受けてまで、わざわざその店に行こうとは思いません。

 ま、何はともあれ、鶴田軍や超世代軍ってなに?っていう現代プロレスしか知らないファンの人たちにも、ぜひともこの時代の全日本プロレスを見てほしい。

 これは私の贔屓目ではなく、本当にこの時代の全日本プロレスは、団体とファンの間に強固な信頼関係が築かれていました。それが最高の空間を生み出す最大の要因でした。

 今回の放送で時たま映る、会場で観戦するファンの表情を見てください。それがここから大復活するこの団体の、すべての答え、だと思います。

プロレスクラシック~伝承~第36回
『アジア・タッグ王座決定リーグ戦』
■1990年7月27日 千葉・松戸市運動公園体育館
J鶴田、グレート・カブキvs田上明、小橋健太
■1990年8月18日 東京・後楽園ホール
小橋健太vsダニー・クロファット
【小橋伝承試合】
▽アジア・タッグ王座決定リーグ戦
ザ・ファンタスティックスvsエリック・エンブレイ、リチャード・シャラン
J鶴田、田上明、渕正信vs三沢光晴、川田利明、菊地毅


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