この話は業界のタブーもありますから、今まで伏せてきました。
しかしながら、健康保険組合の方、市町村の担当の方、医療関係者様で接骨院に疑問や不満をお持ちの方が
いるようなので(私事として)少し開放したいと思います。
私は現在、鍼灸院をやっていますが、その前は鍼灸整骨院をしていました。
元々、仙台市若林区で鍼灸整骨院を始めたのが約6年前、
接骨院で働いたことが無く(短期研修はあるが・・・)、保険請求の具体的な仕方が分からず、”接骨院経営”がよく分からないままのスタートでした。当然ながら?数か月で落ち目になり、1年で経営が上手く行かなくて大崎市に治療院を引っ越ししたのが5年前です。
これは別に保険請求がどうこうのではなく、私が経営者として不足していただけの失敗です。
その後、不足分を勉強させて頂き、何とか今に繋いでいるしだいです。
当時、私は柔道整復師の免許をもってはいましたが、接骨院経験はほぼないまま開業してしまったのです。
上手く行くわけがありませんね・・・。
しかし、だからこそになるかもしれませんが、保険請求に関してはクリーンにやってきたつもりです。
最初の数か月は会の担当の方にしつこいと言われるくらい聞きまくっていました。
それは、保険請求のことが全く分からなかったからです。
業界外の方は不思議に思うかもしれませんが、学校では保険請求のこと・方法は全く指導してくれません!
カリキュラムに入れてもいいと思いうのですが・・・なんでないのでしょうかね?
私は当初より、自費をかなり取り入れ、数年後には完全自費に移行し、現在は鍼灸院としてやっています。
いわゆる保険のうまみも半分分かりながらも、足をずっぽりと踏み入れないで卒業することが出来ました。
友人からも以前は「何で保険やらないの?せっかく(柔道整復師の免許)取ったのに」といわれますが、
実際、臨床でごく自然に問診し、検査すると、筋骨格系症状でも①捻挫や挫傷(肉離れ)、打撲以外での原因が多いこと、
②そもそも患者さん自らが症状の原因(発症原因)が分からないことが多いことなどから、柔道整復師が請求できる現症状が急性であるか、慢性であるか、それ以外かの区別がつきにくいことが分かります。
誘導尋問でもしない限りそんなに多くの捻挫や挫傷が発症しているとは考えられません(実際の整形外科の受傷割合で捻挫・挫傷が少ないことからも分かります)。因みに柔道整復師が昔から頼りにしていた”亜急性の外傷”は厚生省から否定され、請求は出来なくなりました。
このあたりは、問診(患者さんの証言含む)や徒手検査のみでそれを判断する限界と言いますか、そのような法律が今も施行されていることがおかしいのです。なので、その不便な法の下で施術を強いられている柔道整復師も可哀そうと言えば可愛そうなのかもしれません。
じゃあ、何故私は柔整の資格を取得したのか?
やはり、当時は開業するには、鍼灸マッサージ単独よりも柔道整復師の免許を取得し保険が使える接骨院の方が良いと思ったからです(たぶん、柔道整復師を希望するほとんどの方は保険の魅力で取得したと思って間違いないでしょう)。
開業するときに、知り合いのDrに鍼灸マッサージで開業する話をした時に
「君、それは上手く行かないよ。柔整の免許をとって保険を使えるようにしなきゃ!」とも言われ、
お医者さんもそう考えているんだとビックリするというか、納得するというか・・・。
柔整の学生の頃、柔整理論か何かの授業で、ある非常勤の先生が「うちらの業界では昔から肩こりは頸椎捻挫と考えて治療してきている」
と言いました。そこで私は「肩こりと頸椎捻は違うのではないですか?」と質問すると、その先生は「うちらの業界では認められていることだ」と悪気は無いことのように話しました。
すると突然、ある学生(接骨院勤務経験あり)が「平野さん、(接骨院では)そういうものなのですよ!」とさも当然のごとく言い放ちました。
クラスの1/3かそれ以上は接骨院勤務経験者だったので私の発言で”やれやれ、めんどくさい奴だ”という空気に包まれました。
当時(10年以前)は、業界では当たり前のことだったんでしょう。私が、この先生に質問すること自体、おかしいことだったのです。
私は良くも悪くも、業界に染まらず今やっています。
もちろん、真面目に請求している接骨院もあるだろうと思います。
その方たちは、もちろんなことなのですが、素晴らしいと思います 。
今から開業する方は本当に大変だと思います。
ただ、諸先輩方のように保険請求に頼らず健全な経営でやってほしいと思います。
ただ、肩こりは保険で請求しないでね!