久しぶりの投稿となります。

このところバタバタしてしまって、ブログに集中することができず、良いアイデアも浮かんでは消えの状態が続き、

簡単に言えば”おさぼり”してしまいまして・・・どうもすいません。

 

さて皆様、「教師5者論」とか、「教師は5者たれ」とか聞いたことがありますか?

 

このワードは、一般的に、教育関係界隈で言われていることらしいのですが、私は全く知りませんでした。

ところがふとしたことがきっかけで、この文言に遭遇し、「これは鍼灸師や施術家にも当てはまるんじゃなかろうか?」

と感じましたが、しかし、生業の特性上ここで、言われている5者に2者足して”鍼灸師(施術家)7者論”を提唱したいと思います。

 

では、そもそも「教師5者論」とか、「教師は5者たれ」は何のことかと言いますと、

まず「5者」とは、学者・役者・医者・易者・芸者のことを指し、このような側面を教員は兼ね備えるべきだ!

という昔?からの教えのようなものらしいです(たぶん)。

 

①「学者」:相手に教え諭すわけなので、しっかりとした学力や知識を持っていなければカッコつきません。
自ら研究熱心でなければ、追及する気持ちが無ければならないというわけでしょうね。

 

②「医者」:もちろん医療行為をすることではありません。児童・生徒がよくよく観察し”なぜ悩んでいるのか?何が分からないのか?どこでつまづいているのか?”などを的確に把握(診断)し、問題点を改善するためのアドバイスや指導(治療)するということです。

 

③「役者」:役者になるというのは、人を惹きつける魅力を持ち、演技し相手を感動させるということ。基本的なことですが、魅力のない人には誰しも興味を持ちませんからね。
 

④「芸者」:学ぶことが楽しくなるような環境をつくることです。子どもは飽きやすい生き物である(多分)。

なので、少しでも楽しく前向きに学ぶことができるように常に工夫をしなければなりません。

 

⑤「易者」:易者∈占い師ですが、子どもを見ぬいて将来的な可能性の道を開いてあげることらしいです。

 

ではこれを鍼灸師に当てはめるとどうか?

①「学者」:医療者の端くれとして日進月歩発展する医学的情報や知識をアップデートしなければなりません。昔に出版した本の情報が生かされる時もあれば、思いがけない最新の話題が治療のヒントになることもあります。私の場合は、最近だと深谷伊三郎先生の灸の本やtaVNS(経皮的耳介迷走神経刺激)の論文などがかなり臨床に役立っています。

 

②「医者」:国や厚生労働省が何と言おうが、鍼灸治療は、医療類似行為ではなく、医療行為の限定解除だと自分は強く信じている。なので、鍼灸師が患者を診察し、”治療”をするのは当たり前の行為である(と、心の中では主張している)。

我々は、施術行為+αを患者に施し、患者を満足(治す行為も含まれる)させることが仕事なので、ここは”鉄板”であることに異論はないでしょう。

話は脱線しますが、今年の2月にあはき・柔整広告ガイドラインというのが厚労省から発出されたので、ご興味がある方は是非一読してほしい。その中で、”治療”という文言について、例えば、あすなろ鍼灸治療院〇、あすなろ治療院×ということになりました。何度も行われてきた検討会(内容については厚労省のHPで閲覧可能)で、当初、医師会サイドは「治療」という言葉自体を鍼灸、柔整、あん摩マッサージ師圧業界で使うことに渋い顔を示していましたが、最終的に鍼灸+治療ならOKということで合意しました。

 

③④「役者」・「芸者」:これは教師の時と同じでしょう。人を惹きつける魅力を持ち、演技し相手を感動(→満足)させるということ。基本的なことですが、魅力のない人には誰しも興味を示さない。けど、私は演技はしない(できない)ので、「役者」は当てはまらないかもしれない。

ただ、昔経営塾で習っていたころに「治療院は異空間でなければならないし、そこの施術者はホストであり、芸能人でなければならない」と言われたことがある。なので、家にあるような日常的なもの・安っぽいものは置いてはいけないと言われたし、対応も患者さんではなく、お客様であり、着ているものも高い施術着を着なさいと。なので、どこの家にも居るおどっっあんやおばさん、にーちゃん、ねーちゃんではなく、ユニホームをビシっと着こなし、患者さんに来てもらって楽しかった、良かったと言われる「エンターテイナー・役者・芸者」でなければならないとは思っている。

その為には、対人関係・コミュニケーションが苦手な人はこちらの”芸”も磨く必要はあると考えられます。

 

 

⑤「易者」:現在の患者さんの状況を診て、「予後」を判断したり、さらに言うと現在の状況とその環境からどのようにアドバイスをしなければならないかを”予測”する能力は医療者界隈ではかなり必要だと感じている。健康状態や年齢、環境は特に大事ですね。

昔、うつ病で治療させていただいていた方がいまして、その方は会社が多忙で残業が続いて、うつ病になったのですが、一定期間休業し、治療に専念していました。かなり、回復し、仕事に戻られたのですが職場の環境改善がされていない状態でそのまま元の仕事に戻ったら、数週間でうつ病を再発し、結局退職し、今は仕事もできない状態になってしまいました。私も若く、経験が浅かったのですが、職場に戻った時のことを想定し、職場環境を変えるように話をつけるか、転職の話を勧めるべきだったと後悔しています。

 

ここからが、鍼灸師に必要な側面として追加した2者です。

⑥労働者・一般生活者:これはその方の仕事や家庭での生活をリアルに思い浮かべて、場合によってはその痛くなるだろう動作を細かく確認することで治療ポイントを探すことができますし、また、どのようなセルフケアを教えた方が良いか(逆に教えない方が良いか)を考えるのに必要になります。つまり、その方のバックグランドをその人になり切って想像してみることで、患者さんの抱える問題を理解しやすくなり、より深い対応が出来ることがしばしばできます。

普段しない草取りをしたり、農家仕事をしたりすると本当に腰が痛くなりますよね、農家さんの仕事の過酷さが身に沁みます。

 

⑦変わり者:「者」で統一しているので適当な言葉が思いつかなかったのですが、ようは神秘的であり、不可思議な”ミステリアスな人”ということです。

鍼とか灸とか、漢方薬とかいわゆる東洋医学って良く分からないことが多いと思います。「胡散臭そうだがなんか効きそう」みたいな。かなり昔ですが、中国の漢方の毛生え薬101とかいうものがありましたね。物凄く流行ったそうですね、効果は不明だったそうですが、「中国4千年の歴史から生まれた毛生え薬!!」なんて、なんか効きそうですよね。

そのような得体のしれないもの=何か凄そう(かもしれない)という一縷の望みをこめて、「何やっても駄目だから最後は鍼でも・・・」と思い来院される患者さんも一定数いるのは確かです。それはもしかすると、その奇妙さによって効果につながるバイアスがかかり、治療効果を引き上げるかもしれませんので、結果的には悪いことだけでもないかもしれません。

昔、茨城県で訪問鍼灸・マッサージの仕事をしていた時に、「医者でも看護師でも、家族でもないから話しやすい」と患者さんから言われたことがありましたが、変わった立ち位置の鍼灸師だからこそ安心させられることもあるかもしれませんね。

 

実は、教師も鍼灸師もそのアイデンティティーの中には、実はそれ以外の要素が入って成り立っているのかもしれません。