京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長が、
3月末で退任された。
今年還暦を迎える山中教授は、
退任後もiPS細胞研究所に残り、
最後は自分の研究をしたい、と言われている。
確かに12年に及んだ所長時代、
経営と運営に腐心されていた印象がある。
一番大変だったのは雇用問題だった、と話されている。
研究所の設立当初、多くの職員が非正規雇用だったそうで、
財団が設立されて正規雇用ができるようになったという。
そういえば寄付を募るために、
チャリティーマラソンにもよく出られていたなぁ、と思う。
基礎研究にはお金がかかる。
一つ一つの実験にお金がかかる、という事ではなく、
膨大な数の実験や検証を繰り返さなければならないからだ。
そのうちでモノになって、
臨床応用できるようになり、
収益を生むのはごく僅かで、
殆どは無駄に終わる。
だが、その無駄を繰り返すしか、
有益な研究は出てこない。
研究してくれる人を確保する為には、
研究者とその家族の生活を支えられる給料も必要だ。
そこにもお金はかかる。
資金調達をどうするか、
自身の研究よりも、
そちらに頭を悩ませていらしたであろうことは、容易に想像できる。
これからやっと研究に専念できる。
本当にお疲れ様でした、と労うと同時に、
まだまだお若いのだから、
これからもっともっと、
役に立つ研究をして頂きたい、と思う。
さて、後任所長の高橋教授は、
iPS細胞を使ったパーキンソン病治療の研究をされている方らしい。
昨年亡くなった伯母が、
長年パーキンソン病と闘っていた。
新しい薬も開発されて、
進行を遅らせることは随分できたようだが、
根本的な治療法はまだ無い。
このiPS細胞を使った治療法とは、
パーキンソン病で減少した神経細胞を、
iPS細胞から作成した神経細胞で補おう、というものらしい。
これ以外にも、神経細胞が再生できれば、
脊椎損傷などで半身不随になった人への適用も考えられる。
iPS細胞の応用は本当に素晴らしくて、
再生医療だけではなく、
iPS細胞を使った創薬研究の過程で、
ALS(筋萎縮性側索硬化症)の進行を止める可能性がある薬を見つけたらしい。
ALSって、難病だし珍しい病気だと思いがちだし、
実際国内での患者数は9000人程度らしいので、
本当に少ないのだろうが、
実は私の回りに2人、ALSで亡くなった方がいる。
1人は夫の伯父で、
結婚する前に亡くなっていたので、
お目にかかったことは無いのだが、
何年も闘病されていたらしい。
もう1人は高校で同学年だった人。
同じクラスになったことが無く、
親しかったわけではないので、
訃報を知ったのは同窓会でだったが、
確かまだ40代だったと思う。
今ならもっと生きられたのかも、と残念に思うが、
この瞬間にも、有効な治療法がなく、
次第に動かなくなる体と向き合い、
闘っている人が大勢いるのだ。
本当に医療は日進月歩で、
頑張って生きている事で、
新たな治療法や新薬が見つかるかもしれない。
そういえば昔、何かのマンガで、
「絶望は愚か者の結論」と書いてあるのを読んだ。
元の出典は、イギリス首相も務めた、
ベンジャミン・ディズレーリという、
19世紀の政治家の言葉らしいが、
絶望が希望に変わり、未来に繋がる事もあると思う。
コロナもそうだが
その希望の為に日夜研究を続けてくれている、
なかなか報われる事の少ない研究者の皆さんに、
心からの感謝とエールを送りたい。
