ウクライナのマリウポリで、

ロシアが化学兵器を使ったかもしれない、と報道されているが、

プーチンはフェイクだ、と主張している。

かつてシリアでも化学兵器が使われたと言われたが、

フェイクであったように、と。


だが、シリアの件は、実は国際機関によって、

化学兵器が使われた事は証明されているらしい。


2017年のシリアにおける化学兵器使用の有無は、

国連とOPCW(化学兵器禁止機関)の共同調査メカニズム・JIM が、

サリンや塩素ガスを兵器として使った、と結論づけている。

ところがそのJIMは、

シリアのアサド政権を支援しているロシアが、

国連の安全保障理事会で存続に拒否権を発動した為に解体されてしまった。


自分達に都合の悪いことを調べる組織は潰してしまえ、という訳だ。


だがそれでOPCWが黙って引き下がるはずもない。

JIM解体後に発足させたIITという組織で、

化学兵器の使用者を特定する調査を続け、

一昨年に正式にシリア空軍が、

サリンと塩素ガスを使用した、と結論づけている。


まあ例によってロシアとシリアは、

救助隊によるでっちあげだ、と主張しているが、

でっちあげであるという証拠は何一つ示せず、

一方で化学兵器を使用すれば痕跡が残るので、

そこを調べて出された結論を覆すのは難しい。



今、マリウポリを完全封鎖して、

支援物資さえ入れない状況にしているのは、

ロシア軍以外の人を入れて、

中で何をしたかがバレるのを防ぐ為、という話もあるくらいで、

逆に言えばバレればまずい事をしてきた、という傍証と言えるかもしれない。



ブチャでのジェノサイドも、

ロシア軍が撤退した後にウクライナ側が遺体を路上に置いた、という荒唐無稽な言い逃れをしている。

昔なら通ったかもしれないが、

衛星から常時監視されているに等しい現在、

録画映像を検証すれば、

まだロシア軍がいる間から、

遺体が放置されていた事は一目瞭然だ。

かつてはアメリカと競争で宇宙に出ていたロシアが、

現状を知らない筈がなく、

そんな言い訳が通ると思っている事自体、

正常な判断能力を失っているか、

国際社会を馬鹿にしている、としか思えない。

まあ彼らとすれば、

国内でのみ押し通せればいいのかもしれないが。



プーチンは依然として侵攻を止めるつもりは無い。

そして、ロシアのような大国を孤立させることは不可能だ、と傲然と言い放つ。


確かに世界には専制国家は相当数あって、

プーチンのやり方を否定すれば、

ブーメランとなって返ってくるから、

是とする、もしくはせざるを得ない国もあるだろう。

あるいは、大国のご機嫌を損ねるリスクを犯さない為に、

西側とロシア-中国の連携の双方に、

コウモリのようにつかず離れず、の姿勢を維持する国もあるだろう。


だが、今ウクライナで行われているのは、

侵略であり虐殺なのだ。

失われる命の前に、

どんな大義名分も言い訳も通らない。


ウクライナのゼレンスキー大統領は言う。

「わずか1ヶ月余りで自国の兵士の多くの命を犠牲にする計画がどうしたら出てくるのか。」


そう、犠牲になるのはウクライナ国民だけではない。

プーチンは自国の兵士も殺しているに等しい。

それもわざわざ攻め込んで行って危険にさらしているのだ。


それは本来、為政者の仕事ではない。

国民の命を守るのがトップの使命だろう。

自分の思い込みとプライドの為に死んでこい、と言える人間に、

国家元首たる資格は無い。



事実から目を背け続けるロシア国民も、

長引けばいずれ直視せざるを得ない時がくるかもしれないが、

それでは遅いのだ。

早く目を覚まして欲しい。



ロシアが化学兵器をもし本当に使っていれば、

或いはこれから使えば、

完全に証拠を隠滅するのは不可能で、

いずれ相応しい断罪を受けるだろう。


それまでに失われる命が、

一つでも少ないことを祈らずにいられない。