1984年に滋賀県日野町で、
当時69歳の酒店経営の女性が殺害された、
「日野町事件」を巡り、
今年2月に決定された再審がいよいよ始まる。
この事件の詳細はこちら。
再審制度に伴う検察の抗告問題についてはこちら。
その再審前に、
通常の裁判で行われる、
公判前整理手続きに当たる、
裁判所、検察、弁護側の三者協議で、
検察側が有罪の主張をしない事を明らかにした。
つまり検察側が無罪を認めた、という事で、
この再審裁判は論点が無いので、
すぐに結審して無罪を言い渡されて終わると思われる。
だが、再審になったら諦める、状況で、
検察は即時抗告、特別抗告、という2度の抗告を繰り返し、
最初の再審決定判決が出た2018年7月から、
8年もズルズル引き伸ばしてきたのだ。
理由はハッキリしている。
今回は死後再審請求なので、
死後再審が行われるのがこれが2例目、という事からも分かるように、
実際に再審までいくケースが極めて稀な事。
そして死後再審請求ができる遺族が、
配偶者、直系の親族(子や孫、父母など)および兄弟姉妹に限られる事。
つまり引き伸ばして請求できる人がいなくなったり、
再審請求を続ける気力を失ってくれたら、
そのまま逃げ切れる、という訳だ。
そのやり方のどこに正義がある?
相手が諦めないで再審が決定すれば、
アッサリ諦めるくせに。
今回大津地検は、
「記録を精査・検討した結果、有罪の主張を行わず、新たな立証も行わないこととした。
裁判所に対し、速やかな公判期日指定と、しかるべき判断をお願いした」とのコメントを出した。
本当に今更何を言ってるんだ?と思う。
精査・検討なら最初に再審決定が出た時点ですべきだった。
そうしていれば、
この無駄な8年は無かった。
もっと言うなら、
第二次再審請求において、
警察が検察官に送致していなかった、
捜査時の写真のネガが開示されたことで、
被害品(金庫)発見現場までの案内経過の写真の入れ替えや、
死体遺棄状況の再現を繰り返し練習させていたことなどの、
違法・不当な捜査の実態が明らかとなり、
確定審において阪原氏の犯人性を根拠づけた事実認定が大きく揺らいで、
再審開始の判断へとつながった。
逆に言えば、捜査機関が最初から全ての証拠を提出していれば、
そもそも冤罪を生まなかったと考えられる。
検察に対する全ての証拠の提出と、
抗告の全面禁止が、
冤罪を防ぐ為にどれだけ重要か、
この裁判を見るとよく分かる。
現在進行中の刑事訴訟法改正案は、
前者に対しては、
再審請求理由に関連する証拠について、
必要性などを考慮し裁判所が検察に提出を命じることができる制度を新設。
後者については、
十分な根拠がある場合を除き原則禁止し、
審理期間を1年以内とする努力義務を新設。
という、甚だ中途半端なもの。
抗告をする十分な根拠がある状況で、
そもそも再審決定されたりしないだろうに。
これだけ冤罪を生み続けてきた事を、
何の反省もせず、
「既得権」に固執する法務省と検察って、
何なんだろうね。
どうも検察は、誤りを認めたら権威が失墜すると思っている節がある。
だが事実は逆だ。
人間だから間違う事はある。
問題はその後ではないのか。
間違いを率直に認めて謝罪する、
人としての基本ではないか。
だが現実には、
検察を志す人は、
正義感から、という人も中にはいるだろうが、
多くは権威主義の様に見える。
そして例えば冤罪であろうと、
バレさえしなければ、
有罪を勝ち取ることが出世に繋がる、と思っている節もある。
だから性懲りもなく冤罪を繰り返す。
問題なのは検察だけではない。
裁判所こそ、最も公平で公正であるべきなのに、
みすみす冤罪を見過ごしている。
中には良心を持った裁判官もいて、
過去の冤罪事件では、
冤罪を主張した人もいたようだ。
なのに検察の権威に引き摺られた、
多数派の判事に負けて、
泣く泣く有罪に同意せざるを得なかったらしい。
もっと酷いのは、
大川原化工機事件の様に、
進行ガンを発症した相澤元顧問の保釈請求を、
7回も却下した裁判官たち。
彼らに聞いてみたい。
貴方自身や、家族、友人が、
冤罪被害に遭った挙句、
病気になっても保釈を認められず、
十分な治療を受けさせてもらえず、
そのまま死に至ってしまったら、
どう考えますか、と。
そういう想像力があれば、
もっと慎重になるだろうし、
間違いを押し通すために、
証拠を隠したり捏造したり、できないだろう。
逆に言えば、その想像力すら無い人は、
人を裁く仕事についてはいけない。
検察も裁判官も。
そう、袴田巌さんの無罪判決に対して、
これだけ大きな被害を与えた被害者に、
まだ不満を言える、
畝本検事総長のような人はね。
今回の改正案は、
衆議院を通過した事で、
今国会中に成立する見通しだ。
不十分であっても一歩前進、と、
受け止めるしか無いが、
付則で5年毎の見直しが記載されている。
5年後の見直し時には、
証拠の全面開示と、
抗告の全面禁止を、
何としてでも決めて欲しいと思う。
これ以上、冤罪被害者を生まない為にね。
