相次ぐ再審開始判決、

とりわけ47年以上かかった袴田巌さんの事件を受けて、

再審制度の見直しが行われている。


だが政府の法制審議会でまとめられた改正案に対して、

法律の専門家や弁護士会やマスコミから、

検察の抗告を禁止すべき、と異論が出ていた。

そして遂に与党内部、

自民党と日本維新の会両方からも議論が噴出し、

明日予定していた、政府案の国会提出を、

見送る方針に変更したそうだ。



再審問題について2月にも書いた。





この時に問題にした、

抗告の禁止をしないままの政府案提出は、

ひとまず阻止された。


ほぼ検察の言いなりの政府案に対して、

政府内にも反対する良識を持つ人がいた事に、

少しホッとしている。

そこはうやむやのまま、

与党圧倒的優勢の内に国会を通過させてしまおう、と思っていたであろう人達は、

今頃歯ぎしりをしているかもしれないが。




冤罪問題、再審制度の問題については、

過去に何度も取り上げてきた。






袴田事件についても、

2020年から何度も書いてきた。

繰り返し検察に抗告され、

裁判所の責任逃れとも言える差し戻し等もあって、

最初の再審開始決定から、

実際に開始されるまでに、

実に10年もの時間がかかった。


当然ながら再審後は無罪が確定し、

漸く警察も検察も謝罪したが、

証拠を捏造してまで冤罪を起こした当事者達は既に亡く、

何の不利益も被っていない。



この冤罪確定迄の長すぎる時間が、

冤罪を起こす事自体が犯罪だ、という認識を曖昧にしているし、

冤罪を起こした者への懲罰を行えなくしている。


だから性懲りもなく繰り返すのだ。


即時抗告(地裁の再審開始決定に反対する)も、

特別抗告(高裁の再審開始決定に反対する)も、

絶対、禁止すべきだ。


検察があくまで冤罪ではなく、

判決は正しい、と言い張るなら、

再審裁判で再度有罪を主張し、

証明すればいいのだ。

本当に正しい証拠で正しく判断されたのなら、

何度やっても有罪になるはず。


それを再審そのものを止めさせよう、とする時点で、

再審をやれば負ける、と分かっているとしか思えない。


まあ日本の重い重い再審の扉が開く、ということは、

無罪確定、とほぼ同じだからね。


逆に言えば、その扉が開いた時点で諦めろよ、と思う。

他人の人生を破壊しておきながら、

しかもそのせいで真犯人逮捕の可能性をも奪い、

被害者の無念も晴らせなくしているのに、

往生際が悪過ぎる。


被害者は冤罪被害者だけではない。

冤罪の為に真犯人を取り逃し、

真相が分からずに終わった、

犯罪被害者とその家族は、

二重の被害に遭っているのだ。



勿論、殺人の時効が撤廃された今、

再度真犯人を追うことは可能だ。

だが、冤罪であろうと、

一旦逮捕されて起訴されれば、

その時点で捜査は止まってしまう。

冤罪が確定する迄の長い時間の経過が、

証拠の劣化や記憶の薄れを呼び、

再捜査をより難しくする。


そういう事を全て理解した上で、

抗告権を維持しようとしているのなら、

検察も政治家も、

一度自分や自分の身内が、

犯罪被害や冤罪被害に遭ってみればいい。


如何に理不尽な事をしてきたか、

そしてそれをまだ、続けようとしているかを、

身をもって知ればいいと思う。



今回、政府が提出しようとした原案は、

再審開始決定に対する検察の抗告を維持し、

再審請求手続きで捜査機関が保有する証拠物の開示範囲を限定するとしていた。


これに対し、自民内で反対の声が高まっていたが、

中でも稲田元防衛大臣は、

マスコミを追い出した後に強行しようとした法務省幹部に、

「1ミリも私たちの言い分を聞かないじゃないか。

ここで発言した議員はほとんど全てが『抗告禁止』だ。

それを全く無視している」と批判した。

それがメディアの前での異例の発言だった為に、

大きく報じられる結果となった。

稲田さん自身は、国民に訴える手段として〝非常救済手段〟をとった、と説明しており、

本来の意味での確信犯だった模様。



そう、問題となっているのは抗告権だけではないのだ。

誤った有罪判決で冤罪被害者がこんなにも長く救済されていない理由はもう一つあり、

証拠を全て出していない事にもよる。


つまりは都合の悪い証拠を隠し、

抗告権を悪用して、冤罪を助長してきた訳だ。

ここを改正しないと始まらない。

抗告の禁止が手付かずで、

証拠の開示を限定的にしてしまえば、

何のための法改正なのか。


稲田さんもそこを強調していて、

政府原案は「検察の出している法案にしか見えない」と指摘し、

「自民党は検察の守護神ではない。(適正な)刑事司法手続き保障の守護神でなければならない」と述べている。



やるじゃん、稲田さん。

危ない人かと思っていたけど(笑)

正直言ってちょっと見直した。


このまま改正の意味のない見直しになってしまうのか、と暗澹たる思いだっただけに、

まだ法律家の良心、って残っていたんだ、と、

少し感動している。



この上は、正しく冤罪を防げる、

適正な改正をして頂きたい、と思う。



つい力が入って長くなってしまった。

読んで下さった方、

ありがとうございました。