1984年に滋賀県日野町で、

当時69歳の酒店経営の女性が殺害された、

「日野町事件」を巡り、

強盗殺人罪で無期懲役が確定し、

服役中の2011年に75歳で病死した、

阪原 弘 ・元受刑者について、

最高裁第2小法廷は24日付の決定で、

再審開始を認めた大阪高裁決定を支持し、

検察側の特別抗告を棄却した。

これで再審開始が決まった。



事件の概要はこちら。

https://www.nichibenren.or.jp/activity/human/retrial/shien/hinocho.html



日本では再審の壁はとてつもなく高い。

死後再審に至っては、

これで2例目、という、

更に高い壁だった。



刑事訴訟法では、遺族にも再審請求を認めているが、

実際にはなかなか再審まで行き着かないのが現実。

この事件も、被告の存命中にも再審請求がされ、

審理されていた途中で、

請求人が亡くなった為に棄却されていた。


当時から問題だらけの裁判で、

有罪の有力な証拠とされた、

遺体遺棄現場へ被告が案内した、という写真が、

実際には誘導して現場へ連れて行った後、

帰り道に撮影した写真を、

順番を入れ替えてあたかも被告が遺棄現場を知っていたかのように捏造した物だ、と判断されて、

再審開始に至っている。


大阪高裁は23年2月、

遺体発見現場への案内について警察官の誘導の可能性があると認め、

再審開始の結論を支持した。

これに対し、有罪の維持を求める検察側が最高裁に特別抗告していたが、

やっと最高裁で再度棄却された訳だ。



この検察の往生際の悪さは何なんだろう。

人の人生を冤罪で目茶苦茶にしておいて、

それでもあくまで認めない、という頑なさは、

決して検察の権威を守るものでは無いと思うが。



この事件は、

最高裁で再審開始が決定した事で、

間違いなく無罪が言い渡されるだろう。

だが、最初に大津地裁で再審開始が決定されたのが2018年7月。

逮捕から既に30年が経っていたにも拘らず、

それから更に6年も無駄に時を過ごしてしまった訳だ。

検察のメンツの為に。


大体殆ど開かずの扉に等しかった再審の扉が開く、という事自体が、

ほぼ奇跡に近い様な話で、

それが開いた時点で諦めろ、と思う。


袴田事件の時も書いたが、

自分達が下した判断でもない昔の事件に対して、

どうしてこうも頑ななのか。



今、再審までの時間がかかり過ぎる問題を受けて、

再審法改正に向けて、

法務省の法制審議会で部会を設けて、

審議が始まっている。


だが、ここでまとまった審議案は、

余りにも検察の主張に沿った酷い物のようだ。


https://www.asahi.com/sp/articles/ASV221PGXV22UTIL00LM.html



大体、いたずらに再審までの時間を引き延ばす、

検察の即時抗告(地裁の決定を高裁に訴える)や

特別抗告(高裁の決定を最高裁に訴える)を禁止していない。


この事件でも、

検察が抗告権を濫用していなければ、

8年前に結論が出ていた話だったのだから、

これは絶対に禁止すべきだと思う。

検察側が再審開始が気に入らないのであれば、

再審の中でもう一度有罪を主張し、

証明すればいいのだ。


だが実際には、

再審の扉が開けば、

これまでの所、例外なく無罪になるのが分かっているので、

何とか再審をしないで済まそう、とする。


実際、阪原受刑者の様に、

再審請求の途中で亡くなってしまえば、

棄却されて終わってしまう。

この事件の様に、遺族がいて、

その人達が頑張って再審請求をしなければ、

名誉は回復しないままだった。


逆に言えば、それができる遺族がいなければ、

再審は行われず、

検察も警察もメンツを潰されずに済む、という訳だ。

だから少しでも引き延ばしてうやむやにしたいらしい。



再審とは誰の為にあるのか?

冤罪に苦しむ人と、その家族の為では無いのか?


その重い重い扉が、

少しずつ開く回数が増えてきた。

だが実際に冤罪に苦しむ人は、

その何倍も、何十倍もいる、と思う。


今では可視化されて、

取り調べが録画される様になっているし、

自白が証拠の女王、なんていうふざけた論理を絶対視していて、

自白強要でサインさせてさえしまえばOKだった時代とは違い、

他の証拠との整合性や、

自白を裏付ける証拠も必要とされているから、

昭和の時代よりは減っている、と思うが、

それでも無くなりはしない。


思い込みや、

手柄を挙げたいという捜査側の「欲」は、

決して無くならないからだ。



であれば、再審の壁はもっと下げるべきだろう。

今のように、何十年も経って、

捜査に関係した警察や検察の人間がいなくなってからではなく、

まだ現役でいる間に再審になったら、

不適切な捜査をした、と世間に公表するようなものだ。


冤罪を作った、と表沙汰になれば、

そのまま組織に居続ける事も難しい。

手柄を焦った為に職を失う位なら、

慎重に捜査しよう、と思うのではないか。


捜査員のその意識こそが、

冤罪を減らす一番の近道だと思うのだが。