水俣病の被害者でありながら、
居住地を変えた為に発見が遅れ、
切り捨てられてきた患者達に、
漸く救済の道が開かれた。
水俣病訴訟 救済策の対象外の原告全員を水俣病と認定 大阪地裁
何しろ古い話過ぎる。
チッソがメチル水銀を処理せず、
水俣湾に排出し始めたのが終戦の年。
当初は病気との因果関係が分からず、
奇病扱いだった。
厚生省が因果関係を公式認定したのは68年で、
水俣湾の安全宣言を出せるまでには、
更に30年の月日が必要だった。
水俣がチッソの企業城下町であったことが、
原因特定に時間がかかった一因であると思うが、
それにしてもかかり過ぎた。
その為に余計な被害が増大したし、
子供の時に有機水銀を摂取していて、
他県に引っ越し、
年月を経てから症状が出た人達は、
診察した医者も含めて、
水俣病を疑ってはいなかったので、
更に発見、認定が遅れた。
今回の判決で、
その為に放置され続けた人達に、
初めて救いの手が差し延べられたのは、
素直に良かったと思う。
国や県やチッソにとっては、
どこかで認定の線引をしたいのは分かるが、
今も後遺症に悩まされている患者達の現実に対して、
画一的な線引は馴染まない。
この国の姿勢は、
広島の被爆による原爆症患者による、 黒い雨訴訟にも通じる。
救済すべきは弱い立場の人の筈で、
特に国には、
守るべき国民の健康を不作為で守れなかった事に対する、
反省は無いのか、と聞きたくなる。
数百万のお金を出したところで、
失った時間は戻ってこない。
辛い思いを続けた長い時間が無かった事になる訳でもない。
被害者達が高齢になっている事も、
黒い雨訴訟と共通していて、
せめて幾許かの補償をすることでしか、
報いる術は無いのだから、
この上、控訴したりしないで、
この判決を受け入れて欲しいと思う。
とはいえ、今回の判決は、
複数起こされている集団訴訟の、
最初の判決らしいので、
確定してしまえばこの後に続く訴訟の行方に影響するかも、と考えて、
控訴するんじゃないか、という気はしている。
黒い雨訴訟が将にそうだった。
当時の菅総理が、
上告を断念したから二審で確定したけど、
この裁判も控訴、上告、となると、
更に1年、2年と時間がかかる。
国はもう一度、
今すべき事をよく考えて貰いたい。