「永遠の愛を誓う Une confession」(2023年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

エレーヌ・フィリエール監督によるフランスのドラマ映画。出演はローラン・ジェラ、カトリーヌ・フロ、ダイアン・ルクセル。

 

 

<あらすじ>

 

30代の女性警官クラリスは、モード・デュベリーの転落死に関する捜査を担当した。モードは崖の上から落ち、50代の夫ジャン・デュベリーは何もできなかった。警察ではすぐに事故とされ、事件性はないと判断された。

 

しかし 1週間後、謎の目撃者がジャンが妻を突き飛ばすのを見たと主張する。上層部の助言に反して、クラリスは調査を主導する。彼女は、ジャン・デュベリーの秘密を暴き、この奇妙な事件を解明するためなら何でもすると決意する。

 

しかし、聴取をしても、周辺の事情を調べても、クラリスの幼馴染のジャンの息子に尋ねても、おかしなところは見つからない。モードは知的で頭のいい女性だったが、配慮に欠けてイライラすることがあった。ジャンは彼女の尻に敷かれて、屈辱を味わうこともあったが、それでもモードを愛していた。

 

ジャンは、クラリスと息子に自分が書いた日記を提供した。それは何の証拠にもならなかったが、クラリスは事件の背後を知るためにそれを読んだ。

 

そこに、事件の証言者がやってきた。彼はジャン・デュベリーに頼まれて偽証をしたという。ジャンを逮捕して話を聞いたが、彼は証言を変えない。なぜそんなことをしたのかもわからない。いま一度ジャンの時系列を洗うと、レストランでマルジャンという女性と会っていたという。

 

マルジャンは、レストランの店員だった。ジャンは彼女と浮気をしたが、彼は勃起不全だった。そしてモードはそんな夫を見下し、バカにしていた。彼女は夫の浮気のことを知り、怒った。自分相手だと勃起しないだけとわかったからだ。そして運命の日になった。

 

モードはひとりで崖の上に歩いていった。そして「どんな人なの?」と浮気相手のことを尋ねた。ジャンは彼女の手を振り払った。そしてモードは転落して死んだのだった。

 

<雑感>

 

フランスのテレビ映画。アマゾンであちらのテレビ映画を見るようになったせいか、女優の顔もわかるようになってきた。カトリーヌ・フロは「大統領の料理人」で主演を演じた魅力的な女優さんだ。でもかなりお年を召されたな。

 

ジャンとモードのカップルは、力関係が微妙なカップルだった。経済力があるのはモードで、社会的な地位も高い。ジャンはモードのオマケのような存在である。それでも、美しく賢い女性と結婚できたことは彼の誇りで、ずっとモードを愛していると思っていた。

 

しかし、自分に自信を持てない男は、勃起不全となる。自信のなさから彼は妻にバカにされていると思い込むようになる。愛しているのに、妻は自分をないがしろにしていると。しかしそれは彼が作り出したウソで、勃起不全で妻を侮辱していたのは自分だった。先に浮気したのも自分だった。そんな自分が、事故とはいえ妻を簡単に死なせてしまった。

 

勃起不全で妻を侮辱し、浮気をした自分に罪はないのか。妻は自分に何も悪いことはしていない。屈辱は自分で感じただけで、妻が夫に与えたものではない。それなのに死んだのは妻だった。まるで彼女に罪があるかのように。ジャンが屈辱を晴らしたかのように。

 

自分は果たして罪人なのか、無実なのか。ジャンはそれを知りたくて、偽証までさせて警察に事故のことに介入させたのだ。

 

これはテレビの2時間ドラマ、いわゆる火曜サスペンスとか、テレビ映画といったものなのだが、欧州の作品はテーマがハッキリして面白いものが多い。このブログでは軒並み高評価にしてあるが、これも見事な脚本と演技だった。

 

☆4.2。浮気をしているジャンが自己嫌悪に陥っていることから、ジャンの落ち込みやすい被害妄想的な性質にすべての問題があったようだ。