「グレート・ミュージアム ハプスブルク家からの招待状」(2014年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

ヨハネス・ホルツハウゼン監督によるオーストリアのドキュメンタリー映画。

 

 

<あらすじ>

 

伝統ある美術館にも押し寄せるグローバル化の波。

 

120年目の大いなる転換はどんな結末を迎えるのか。館長、学芸員、修復家、美術史家、運搬係、清掃員。個性的なスタッフたちがつむぐ小さなドラマは、組織のなかで働く苦労や、芸術を扱う仕事が持つ困難さを切実に描き出す。

 

美術館のブランド戦略をめぐって紛糾する会議。収支バランスを問うてばかりの経営陣。下っ端扱いを嘆くサービス係。完璧主義の修復家。芸術とビジネスとが同居する場で巻き起こるのは、どれも普遍的でありながらユニークな問題ばかり。

 

なかでも「伝統の継承」と「大胆な革新」という正反対の選択を迫られる姿は興味深い。ハプスブルク家の遺産を守る美術館は、中世からの伝統を継承しつつ、現代の観客に向けて新たな風を吹き込まなくてはいけないのだ。

 

悩みながらもそれぞれの仕事に誠実に対処するスタッフたちのストーリーは、ときにユーモアあふれる展開やあっと驚く感動的な瞬間をもたらしてくれる。

 

<雑感>

 

美術館で働く人々のお仕事集のような内容。収蔵美術品がとにかく圧倒的。素晴らしい収蔵品を扱う人々、飾る人々、語る人々、美術館の内装をする人々、とにかく多くのスタッフが展示のために考え、働き、動き回る。その仕事ぶりに圧倒される。

 

美術館の内部の様子などは普段見ることができないし、ましてやこれだけ歴史のある美術館となるとなおさら裏方の様子を拝見する機会はない。かなり貴重なドキュメンタリーであるのと、美術に関心のある人なら興味深い内容ではないか。

 

美術品について解説する内容ではない。あくまで裏方がどんな仕事をして美術館を支えているか解説なしで垣間見るものなので、美術史などの勉強にはならない。

 

☆5.0。超有名な絵画や彫刻が、展示される前は床に並べて置いてあるとわかっただけで大満足だった。展示は裏方の芸術なのだ。