「ボーイズ・イン・ザ・ボート 若者たちが託した夢」(2023年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

ジョージ・クルーニー監督によるアメリカのドラマ映画。出演はジョエル・エドガートン、カラム・ターナー、ピーター・ギネス。

 

 

<あらすじ>

 

ワシントン大学に弱小ボート部があった。生活費に困っていたジョー・ランスは、寮にただで住めると聞いてボート部に入部した。ジョーは奨学金を受ける必要に迫られており、ボートで活躍することでそれが受けられるのではと期待した。彼らはコーチの元、必死に練習に打ち込む。

 

彼らはカレッジレースで強豪のカルフォルニア大学を破って優勝を果たす。ジョーのチームは二軍に過ぎなかったが、この優勝をきっかけにしてオリンピック代表を目指すことになった。

 

国内レースの選考会に出場した彼らは、下馬評を覆して見事優勝を果たす。ところがここで問題が発生する。二軍チームを専攻会に選んだことで、スポンサーが降りてしまい、ワシントン大学チームは資金不足からオリンピックに選手を送り込めなくなってしまった。

 

寄付を募るなど努力を重ねたものの、どうしても必要額には大きな不足が出てしまった。辞退する寸前に追い込まれたとき、敵チームの監督が大金を貸してくれた。こうして彼らは、ナチスドイツ支配下のベルリンで行われるオリンピックに参加することになった。

 

スタートに出遅れたアメリカチームであったが、最下位から追い上げ、1位を走るドイツを抜き去り、金メダルに輝いた。

 

<雑感>

 

素晴らしいスポーツ映画だった。ボート競技をこれだけ迫力満点に撮れたのは凄い。漕いでいる選手を正面下側から映しながら、オールを持つ手が画面下の端っこから奥へと力強く動く描写が効いていた。

 

それだけではなく、映されているのが2人であったり3人であったり、サイドストーリーに合わせてカット割りしてあってシーンの一つ一つが感動的に仕上がっている。

 

貧乏で、ホームレスの配給に混ざって食事にありつこうとしていたジョーが、ボランティアで同級生が参加しているのを見て逃げるように去っていく冒頭の部分から、幼馴染に告白されて自信を取り戻していくさま、その自信がチームの運気であるかのような演出に痺れっぱなしだった。

 

ただ、観戦していたヒトラーがドイツが負けたあとに怒って去っていったのは事実じゃないと思うぞ。オレの記憶違いかもしれないが、笑顔で拍手していたはずだ。そういう創作をするとプロパガンダみたいになるからオレは好きじゃない。

 

映画的にはアメリカチームがナチスドイツに一矢報いる脚本にしたかったのはわかるが、こういう小さなことが歴史改変になっているのではないかな。

 

☆4.0。ヒトラーはこういうたぐいのキャラクターではないはずだ。