「走る On the Run」(2022年作品) | 深層昭和帯

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クラウディア・ジェリーニ監督によるイタリアのスリラー映画。出演はクラウディア・ジェリーニ、ステファノ・ペッシェ、クラウディア・ヴィスマラ。

 

 

<あらすじ>

 

Eセラピストのエマは、ランニングマシンで毎日走りながら患者と面会していた。そこに長らく音信仏にしていた妹のキアラから連絡が入る。エマの父が白血病だというのだが、エマはまるで関心を示さなかった。キアラも姉との会話がぎこちない。

 

エマ自身は子宮癌を患っていた。そのために定期検診を受けなければならないが、彼女はずっとそれをサボっていた。キアラからは何度も連絡があり、父親の白血病は幹細胞移植で治る可能性があると教えられた。エマはドナーになれるかもしれない。だが、エマにはトラウマがあり、それを克服するために父親から離れていたのだ。

 

エマは、父親に性的虐待を受けていた。このトラウマのために彼女は我を忘れて走り続けなければならなかったのだ。だが、彼女の患者がことごとくセラピーの失敗で傷ついていく。追い詰められた彼女は長く封じ込めていたパニック障害に陥った。

 

状況を変えるためには前進せねばならない。エマは、妹の求めに応じて父親と面会した。

 

父や妹との再会をきっかけに、エマは部屋を出て外を走るようになった。すると、彼女の患者たちも前向きになって、それぞれの幸せに向かって進み始めた。

 

<雑感>

 

この作品は、主演女優のクラウディア・ジェリーニが監督を務めている。対処療法より、一歩前進する勇気こそが必要だという、ざっくり言えばそんな内容だ。とにかくエマは走ってばかりいる。彼女は「ジョギング中毒」を自称しているが、トラウマによる引きこもり。それに伴う精神不安から逃れるために走っているのだと徐々に判明する。

 

彼女が病気のうちは患者の病気も一向に良くならず、次第に追い詰められていく。それを、トラウマを克服するために自分を強姦し続けた父親に会うというかなりの荒療治を自分に課して、彼女は精神の不安を克服する。それが患者たちにも伝染して、物語は一気に緊張が緩和する。

 

☆3.0。低予算の作品だが、単純ながらもしっかりとしたプロットに支えられて最後まで楽しめる。