「クノック」(1950年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

ギィ・ルフラン監督によるフランスのコメディ映画。出演はルイ・ジューヴェ、ジャン・ブロシャール、ピエール・ルノワール。

 

 

<あらすじ>

 

40歳のクノック医師がある街にやってきた。その街にはインフルエンザでも流行らない限り、病人がいないという。クノックはまず無料診察を開催した。タダと聞いて押し掛けてきた街の人々を診察して、彼らが不安になるような話をして追い返す。

 

すると街の人々は自分が病気ではないかと疑心暗鬼になって医者に通い始めた。病室はあっという間に満室になり、薬も飛ぶように売れた。

 

そこに前任者のパルパレ医師が状況を見るため戻ってきた。ほとんど医者に懸ったことのない人々がたくさん入院しており彼はたいそう驚く。ホテルは病室に改装されてしまっており、泊るところがない。

 

そこでパルパレは、すぐにリオンに戻ると告げたが、クノックは彼を病人として扱うことで部屋を確保。パルパレが不安になるようなことを口にして、徐々にその気にさせていくのだった。

 

<雑感>

 

明るく楽観的な医者がいたときは、誰も自分が病気だとは思わず、医者にも懸らず元気にしていたが、お金にしか興味のない、人の不安心理を巧みに突く医者が来た途端に自分を病気だと思い込んで医者に依存し始める。医者の性格ひとつで病は作られるといった話。

 

病は気からというが、その気分を作り出しているのが医者だと。病院で診察を受けているときの、ちょっと不安な心理を大袈裟に描いた感じかな。クノックは決して藪医者というわけではないようだ。お金が好きなだけである。

 

☆3.5。住民を医者に依存させてお金を使わせるために、無料診察を開催する悪徳医師がクノックだ。