「狼と香辛料Ⅱ」(2009年作品)第9・10話 感想 | 深層昭和帯

深層昭和帯

映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

原作:支倉凍砂、監督:高橋丈夫、制作:IMAGIN。

 

 

第九幕 狼と無謀な商談

 

エーブに紹介してもらったリゴロを訪ねたホロとロレンス。現れたリゴロは、エーブから聞かされていた人物像と違い、柔和で笑顔を絶やさない男だった。リゴロは50人会議が早々に終了した事を隠さずロレンスに伝えると、ホロの為に快く伝承の記された書物を貸し出してくれるのだった。何もかもが順調に進んでいるかと思えたロレンスだが、ホロが内に抱えている思いは意外なものだった…。

 

第十幕 狼と孤独な微笑み

 

50人会議が出した決定は、毛皮の取り引きを現金に限定するというものだった。多額の現金を持ち合わせている商人が少ない中、現金をかき集めて出し抜く事が出来れば利益は莫大になる。エーブはそこを突いて一気に毛皮を買い占めようと画策していた。その金策の為にホロを利用しようというエーブの誘いに、ロレンスは商人としての血が騒いでしまう。その事をロレンスはホロに正直に伝えるのだが…。

 

<雑感>

 

日本のアニメで描写される教会は悪役ばかりとはよく言われるが、この作品もご多分に漏れず悪役として描かれている。ホロとロレンスが立ち寄った街は、大司教の座を狙う男に支配された街で、権力を狙うがゆえに金が要る。それにホロが巻き込まれる流れ。

 

キリスト教の教会はずっとこんなことばかりやっていて、権力の座を射止めるためにあらゆる悪事に手を染めている。その中でもっともの血の世に影響力が強かったのが奴隷売買の励行。

 

戦国時代の日本もターゲットにされ、織田軍との戦争が避けられないとみた九州の大名が、火薬を買うための資金を得るため、領土内の男女を売り飛ばすことを認めた。イエズス会はこれでぼろ儲けをして、その資金の一部がバチカンに寄付されている。このとき添えられた手紙が、大量にバチカンで保管されている。もちろん、熱心な活動を褒めたたえる意味での保管だ。

 

キリスト教とはそういう宗教なので、アニメでの描かれ方は何も間違っていない。