「ラ・ポワント・クールト」(1955年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

アニエス・ヴァルダ監督によるフランスのドラマ映画。出演はシルヴィア・モンフォール、フィリップ・ノワレ。

 

 

<あらすじ>

 

ラ・ポワント・クールト生まれの男は、都会で美しい妻と結婚し、帰省した。しかし、妻は夫と離婚するつもりでいる。そうではあっても初めての土地で、あまり好きではない夫の友人らを紹介されて笑顔で対応するしかない。

 

ラ・ポワント・クールトの湖は細菌で汚染され、衛生局から漁をするなとお達しが来ていたが、地元の人間は生活のために魚を獲っていた。そのほとりで妻は夫の浮気をなじり、愛情が冷めたことを訴える。ふたりはしばらく夫の故郷で過ごすことには同意していた。

 

妻は湖畔の静かな町で過ごすうちに、夫がわかってきたような気がした。ふたりの関係は以前と変わっていない。パリに戻れば、妻の苛立ちは元に戻る。そうはわかっていても、ラ・ポワント・クールトの町にいる限り、ふたりの関係は落ち着いていた。

 

町は警官が青年を密漁の罪で逮捕し、最近の影響か病気が蔓延し、恒例の祭りの出し物である水上槍試合で盛り上がっていた。そのそばを、旅行鞄を持った夫婦がすり抜けていく。

 

<雑感>

 

離婚の危機にある若い夫婦と、いつもと変わらぬ湖畔の小さな町を対比させた、信じられないような傑作映画。町はいつもは静かで何もない場所なのに、小さな町ならではの喧騒というものがあって、バタバタしている。

 

一方の夫婦は、一見落ち着いた若いカップのように見えていても、内心は穏やかではなく、離婚寸前、感情は爆発寸前なのだ。この小さなものと大きなものを対比させる見事な構成、脚本。コラージュのように切り貼りされる映像演出。初見だったが驚くほどの傑作だった。

 

☆5.0。オレはこういう映画に惹かれるんだよね。