「オーバー・ザ・トップ」(1987年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

メナヘム・ゴラン監督によるアメリカのアクション映画。出演はシルベスター・スタローン、ロバート・ロッジア、スーザン・ブレイクリー。

 

 

<あらすじ>

 

義父と折り合いが悪く、妻子を残して家を出たリンカーン・ホーク。やがて妻が大きな手術をすることになり、妻からのたっての頼みで海軍幼年学校に通う息子のマイケルを迎えに行った。しかし、マイケルは父親のことを覚えていない。父子は、対立からやり直すしかなかった。

 

ホークはトラック運転手をしながらアームレスリングの大会に出場して賞金を稼いでいた。マイケルの祖父ジェイソン・カトラーは、ホークが孫を連れ去ったことに激怒。手下を使って後を追わせる。相変わらず父に反発するマイケルであったが、父がアームレスリングで勝利するのを目にして、少しだけ考え方が変わってきた。

 

母のクリスティーナが入院する病院に駆けつけたものの、すでに彼女は死んでいた。ショックのあまり父と離れて祖父が松屋式に戻ってしまうマイケル。そのマイケルを取り返そうとトラックで突っ込んだホークは、娘の目の前で警察に逮捕されてしまった。そして州を出るという条件で釈放させてもらった。

 

失意のマイケルは、すべてを忘れようとトラックを売り払ってラスベガスで開催されているアームレスリングの世界大会に出場する。そのころマイケルも、母の遺品の中にあった自分宛に書かれたホークの手紙を読んで考えを改める。そして、父が出場した大会を見ようとラスベガスへと向かうのだった。

 

会場で再会したホークとマイケル。決勝に進んだホークは、見事逆転勝ちして新車のトラックを手に入れた。そしてマイケルとともに、運送会社を立ち上げようかと話すのだった。

 

<雑感>

 

「スタローンが腕相撲をやる映画」のタイトルが長年思い出せなかったのだが、そうだ、「オーバー・ザ・トップ」だった。なんかやたらとカッコいいタイトルだなって、それだけ記憶していたんだ。劇場鑑賞したっきりだから、数十年ぶりである。懐かしい。

 

80年にレーガン大統領が当選して、アメリカはヒッピー時代に別れを告げ、社会が保守化した。ハリウッドのその影響を強く受けて、反ソ、反中色が強まり、家族の価値が強調され始める。左翼はヒッピーとかが目立つけれども、エリート主義なので、トラック運転手などはバカにされがちだった。そのトラック運転手を主人公に、父と子の愛情を描いている。

 

イタリア系で、顔立ちがラテンっぽいスタローンは、保守系の役が良く似合っていた。家族主義の強いイタリア人のイメージが、70年代後半の、ヒッピーを気取ることに疲れていたアメリカ社会にジャストフィットしたのだ。スタローンは80年代~90年代にかけて、愛国的キャラを数多く演じ、時代の寵児になっていった。

 

そんな時代の、単発的な作品だった。「ランボー」撮影のためにビルドアップした肉体を、上手い具合に多くの作品で使用した。マネージャーが優秀だったのだろう。金は稼げるうちに稼いでおくものだ。

 

☆4.0。いや、懐かしい。80年代は最高だぜ。