「噂 Rumeurs」(2014年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

エティエンヌ・ダーヌ監督によるフランスのサスペンス映画。出演はイングリッド・ショーヴァン、ブルーノ・スラグマルダー、トーマス・クソー。

 

 

 

 

<あらすじ>

 

3年前に街にやってきた体育教師のエステレは、高級ホテルのオーナー子息と婚約をした。その発表の席にアンジェリカの両親がやってきて娘がいなくなったと訴えた。街では以前にもクロエという少女が行方不明になっていた。

 

警察に事情を聴かれた生徒たちは、口々にエステレがアンジェリカと付き合っていると話した。噂は瞬く間に街に広まった。アンジェリカが姿を消したことで、人々はクロエの事件と結びつけ、どちらの事件もエステレの仕業ではないかと疑い始めた。

 

エステレも含め、必死にアンジェリカの行方を追っていたとき中、エステレに連絡があった。アンジェリカは学校に隠れていた。噂のことでイジメられるのが耐えられなかったのだ。彼女を保護したエステレは、両親の元に送り返し、警察に連絡した。

 

ところがこのことがきっかけになり、さらにクロエの事件もエステレが疑われ始めた。噂が大きくなると、婚約者までが彼女を疑い始めた。エステレは家を出ていくと言い出した。画家だった祖母の家に戻った彼女のところに、クロエの母親が怒鳴り込んできた。エステレは冷静に対処する。

 

そうこうしている間にも噂はどんどん大きくなり、保護者が学校に怒鳴り込む事態に発展。アンジェリカの父親はもう娘に会うなとエステレを恫喝。さらに何者かによる脅迫文が届く。だが、アンジェリカとエステレの噂を広めていたのは、婚約者の娘ソリーヌだった。ソリーヌは継母になるエステレを良く思っておらず、アンジェリカの彼氏を奪いたかったのだ。

 

アンジェリカの祖父がエステレ名義で呼び出され、襲撃を受けた。祖父はそのままエステレを訪ね、犯人は君じゃなかったと認める。祖父がエステレを嫌っていたのは、エステレの祖母に恋をし、その恋が実らなかったからだ。祖父の話はアンジェリカの父にも共有された。

 

エステレは携帯をどこかに置き忘れ、その携帯からアンジェリカの祖父に電話があった。携帯のありかがわかれば、犯人は捕まるはずだった。エステレは幼馴染のトーマスを頼り、そこで一晩宿泊していた。そのとき彼に奪われたのだった。

 

トーマスは、エステレの幼馴染で、幼いころの彼女が大好きだった。その後、エステレとは離れ離れになったが、ずっと彼女の面影を求めて、少女に関心を持ち続けていた。トーマスを疑ったエステレは、彼のパソコンの中にアンジェリカの動画を発見する。すべてを察した彼女が逃げようとすると、それに気づいたトーマスが彼女を地下室へと引き込んだ。

 

エステレが突き飛ばすと、石畳に頭を打ち付けてトーマスは死んだ。そしてその地下にはクロエが捕まっていた。

 

クロエを助けたエステレは、親元に彼女を送り届け、すべての疑いを晴らした。そして婚約者と娘のソリーヌとともに、この街を離れる。旅立ちの道すがら、アンジェリカが礼を言いにやってきた。

 

<雑感>

 

どこにも情報がなかったので、あらすじを詳しく書いておいた。

 

海外サイトではやたらと評価が低いフランスのサスペンスドラマだが、なかなか見応えがあったけどな。向こうの視聴者は厳しい。オレの評価はそこそこいい。話がサクサク進むし、気分が悪くなるシーンがないし、アメリカやカナダのサスペンスドラマのように類型的でもない。

 

噂というあやふやな情報で、どれだけ人が狂わされるかよく描けていたし、アンジェリカ役の女の子も可愛かった。アンジェリカとエステレの肉体関係に関する噂話をミスリードに使い、最後は欧州ドラマによくあるペドフィリアへの嫌悪に収束させていくところなどなかなかの脚本だった。

 

アンジェリカの祖父の使い方も上手い。最初彼はエステレに否定的で、それはエステレの画家の祖母が関係していると情報が開示される。その祖父が若い日にヌードモデルを務めていたとき、エステレの祖母に恋心を抱く。しかし、エステレの祖母は一つ所にとどまることはなく旅に出てしまう。そして彼は失恋するのだ。それでエステレを嫌っていた。

 

この祖母の「好きな人がいなくなってしまった喪失感」が、犯人のトーマスと重ねてある。トーマスも同じようにエステレを愛していたが、彼女と祖母は旅に出て帰ってこなかった。そして彼は、エステレの影を追い求めてペドフィリアになってしまう。

 

なかなかよくまとめてあるけどな。

 

☆3.6。海外のサイトでは☆2.1くらいの評価なんだわ。そんなに低くないぞ。