「グラップラー刃牙」(2001年作品)第13話~16話 感想 | 深層昭和帯

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刃牙と勇次郎との死闘がメイン。



13話前半はいままでの登場人物相手にスパーリング。後半から刃牙と勇次郎のバトル。これがまた頭おかしいくらいに勇次郎が強いのだが、強さの方向性(速いとか重いとか技術があるとかの特徴)がないために対戦相手をインフレさせるしかない弱点がある。

全てにおいて完璧で、オールマイティーに強いというのは物語においてラスボスになるわけだが、完璧な敵キャラは主人公を迷走させてしまう。大体は何か弱点をつけておくのが鉄則で、ファンタジーなどではこの世にたったひとつだけ苦手なものがあり、主人公はそれを手に入れる旅をして最後にラスボスに挑んで勝つという基本線がある。弱点をつけておかなければ物語が上手く終わらないのだ。

「グラップラー刃牙」が人気を保ちながら格闘漫画の枠を超えて迷走していった原因は、幼年編で勇次郎の弱点を示せなかったためである。刃牙はここで負けていいのだが、勝つためのヒントを掴んでおくべきだった。作品完成度を求めるならば作家が嫌がろうが編集がねじり込むべきだろうが、人気漫画故に終わらせない方向に向かったことを喜んだなら大きな失態だ。

作品の完成度を高めて作家に名声を与えるか、それを犠牲にしてでも連載継続にこだわるかの分かれ目だった。個人的には幼年編の刃牙対勇次郎は失敗だったと思っている。インフレ展開は戦略も戦術もないから作家の演出次第になってしまい、作家は力技に頼って疲弊する。

一方で勇次郎の完璧さによってこのキャラクターが笑えるレベルの設定を付け加えていったのは嫌いではない。バカバカしいほど強いバカキャラとして定着したのは不幸中の幸いであったかもしれない。

第15話は総集編。第16話は地下闘技場編の第1話だ。