「今甦る!昭和ヒーロー列伝」(1993年~96年作品)第6回 感想 | 深層昭和帯

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「今甦る!昭和ヒーロー列伝」は喜井竜児という中京テレビのディレクターが作っていた深夜番組。



第6回「戦え! マイティジャック」(1968年夏秋作品)

  第01話「かかった罠はぶっ飛ばせ!」

  第16話「来訪者を守りぬけ」

  第26話「希望の空へとんで行け! 後編」

<雑感>

1968年の春に始まった日本初大人向けSF1時間ドラマ「マイティジャック」が視聴率低迷が原因で打ち切りとなったのち、子供向け30分番組としてリニューアルされたのがこの「戦え! マイティジャック」である。

大人向けとして失敗したのがよほど悔しかったのか、それとも撮影したフィルムを無駄にしたくなかったのか、円谷プロは粘りに粘って本来1クールで終わるところを2クールの枠を押さえることに成功している。「マイティジャック」が1時間2クールの予定だったんだから、30分に短縮されるなら残りは2クールになるはずだと駄々をこねたらしい。

第6回の放送で取り上げられたのは30分子供番組としてリニューアルされた「戦え! マイティジャック」のみ。本作から山口暁がレギュラーとして加わっている。「仮面ライダーV3」のライダーマンや「電人ザボーガー」の大門豊役で有名な俳優さんで、この第1話では長身を生かしたアクションが冴え渡っている。足場の悪い岩場の上で後ろ足が飛び上がるほど大きな動きのキックを繰り出している。山口さんを生かすようなアクション映画なりドラマが当時少なかったことが本当に残念だ。この番組に参加する前に撮影していた大人気ドラマ「忍者部隊月光」が若干それっぽかった。

ん? いや当時はまだ企画としてはあったのかな。いまの方がアクションドラマは減っているかもしれない。横浜流星なんかたるい恋愛ドラマなんかやってないで、千葉真一みたいに活躍してくれないかなってずっと思ってる。彼の身体のキレはマジもんだからな。

子供向けながら第16話「来訪者を守りぬけ」は大変な傑作回で、善良な宇宙人と猜疑心にまみれ交戦的な人間との対比が衝撃的である。おそらく1時間時代も含めて最高傑作といっていいだろう。モノロン星人の着ぐるみは「ウルトラセブン」ゴース星人の流用で、色を赤く塗ってある。

主役艦艇マイティジャックは、いまでいうところのイージス艦みたいで素晴らしいデザイン。陸海空を網羅する万能戦艦でありながら、さほど大きくなくコンパクトなところが近代兵器っぽい。海底基地から発進する際の水しぶきの細かさに毎回痺れる。

当時まだ幼児だったため、本放送は観ていない。再放送世代であるため、1時間ものの「マイティジャック」を観たのはかなり後である。1時間番組の方は、高校生の時にクラスの友人に教えてもらい知ったくらいだ。ずっと戦え!だけだと勘違いしていたのである。

円谷プロの面白さは、60年代にすでにフェミニズムを意識していたことにもよる。早い段階で女性の活躍を意識的に描いたことが、いまも色褪せぬ脚本となって残っているのだ。60年代の一般ドラマの女性の扱いなんて酷いものだった。当たり前のように、それほど性的ではない凛々しい女性、キュートな女性が職場にいて活躍しているのは、円谷作品だけといっていい。「仮面ライダー」なんて女性キャラは単なる紅一点である。「ウルトラマン」は真にリベラルだったのだ。

ま、いまのフェミニズムに配慮してもろくな作品にはならないけども。60年代はまだリベラルが生き生きしていた時代だったのだ。