「今甦る!昭和ヒーロー列伝」(1993年~96年作品)第5回 感想 | 深層昭和帯

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「今甦る!昭和ヒーロー列伝」は喜井竜児という中京テレビのディレクターが作っていた深夜番組。



第5回「トリプルファイター」(1972年夏~秋作品)

  第01話「行け! 栄光のファイター」

  第15話「恐怖の目が死のウインクだ!」

  第26話「さようなら トリプルファイター」

<雑感>

「トリプルファイター」は珍しい特撮帯番組だった。帯番組、つまり夕方17:30 - 17:40まで毎日放送され、1週間で1話が完結する朝ドラのような形式だったのだ。第1話は初週放送分、第15話は15週放送分、第26話は26週放送分になる。

1回10分あるので尺は1話当たり32分弱。通常の特撮番組が1話22分から長くても24分であることを考えるとかなり長い。これが作品を間延びさせる原因になっている。スローモーションを多用した演出にあくびが出ること間違いなし。

1話当たり10分も長いことから、再編集版も制作されず、再放送もなかった。覚えている人は覚えているが実際に観た人は少ない幻の作品であった。ウィキペディアによると1975年にテレ東で再放送されたらしいが、系列のテレビ愛知の放送が始まったのが1983年だから、どちらにしても無理だ。レンタルビデオで出ないかと探したが、それも尺が長すぎてダメだった。いまはネットで視聴可能である。

オレは幼稚園児のころ毎週観ていてトリプルファイターのソフビも持っていたが、頭の中で主題歌を脳内再上映することはあっても映像を再び拝める日が来るとは思っていなかった。だから名古屋の特撮仲間からこのビデオが送られてきたときは、思わずおおと声が出た。

「秘密戦隊ゴレンジャー」以降、配色によるキャラ分けは定着していったのだが、この当時はまだグリーン、レッド、オレンジという微妙な色分けである。色によるキャラ設定もなく、主役がグリーンファイターなのでいまの特撮ファンは少し混乱するかもしれない。「赤がいるのに主役じゃないだとぉ!」と驚くだろうが、当時まだ色分けは完成されてなかったのである。紅一点はオレンジファイター(早瀬ユリ:笛真弓)である。

特徴としては、登場メカが格好いい。SATカーはガルウィングで先進的デザインだった。敵の車はスバル360を黒く塗ったデーモンカーというのだが、ボンネットに描かれた「D」のマークが中日ドラゴンズ的でオレは嫌いじゃなかった。それに数がたくさん出るところがいいのだ。安いからなスバル360。さらにブルコンというロボットも登場する。これも可愛い。

アクションシーンが長くて、こうして再視聴してみるとドラマらしいドラマはなく、ほぼ戦っている。月曜から木曜までは各人が戦い、金曜日に3人そろってトリプルファイターになって敵の怪人をやっつける。この金曜日というのが意外に難関で、夕方に面白い番組の再放送があったりするので、そちらを最初から観るか、10分だけ「トリプルファイター」を観るか、悩ましいところであった。

怪人たちがいい味出していて、第1話の怪人は必殺技が突進なのだが、車に撥ねられていったん敗れる。金曜日にトリプルファイターと戦ったときは、突進するそぶりを見せるもその前にトリプルキックを喰らって「で、デーモーーーン」と叫んで死んでしまう。

第15話に出てきた怪人など「最後の武器は???」と煽っておいて、マントを投げるだけである。最終回の怪人は、最終兵器といいながら学校のプールにある目を洗う器具のようなものを出して撃つもののトリプルファイターには効かず、キック一発で手に持った最終兵器を吹き飛ばされてしまう。

そして謎の侵略者デーモンは地球侵略を諦め、世界各地のデビラー(戦闘員)を廃棄してしまう。

そんななかなか楽しい作品の紹介だった。