「MONSTER」(2004年作品)第48話 感想(一番怖いもの) | 深層昭和帯

深層昭和帯

映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

ヨハンはアンナの姿に変装してスーク刑事の母親の病室を訪ねた。



スーク刑事の母は認知症を患っていたが、ヨハンとの会話によって頭脳が明瞭化した。ヨハンは彼女にスークから預かったテープの在処を訊いた。母親は大人しく答えた。

すぐにテンマとグリマーのふたりがランケ大佐を伴って彼女の病室を訪れたのはその直後であった。頭脳が明瞭になった彼女は頭が冴えているうちに息子に会いたいという。ランケはその希望を叶えてやることにした。重症のスークは母親の見舞いを受けた。

肝心のテープはまだデッキの中に残っていた。グリマーはビジネスはしないと約束させた上でランケにテープを聞かせることにした。

テープから聞こえてくる少年の声は凄惨な響きがあった。薬物投与によって喋らされているのは幼いころのヨハンであった。あまりの悲惨さにランケは途中で聴くのをやめたいと言い出した。だがそれはグリマーが許さなかった。ランケは自分の甥を511キンダーハイムに入所させていたからだ。

ところがテープの続きは上書きされてしまっていた。喋っているのは現在のヨハンであった。

ドイツ連邦捜査局のルンゲ警部はDr.テンマを追いかけるうちにヨハンの存在に突き当たり、彼がそれを読んで卒倒したという「なまえのないかいぶつ」の絵本を手掛かりにしてチェコへやってきた。ルンゲはこれが入署以来初めて取得した休暇であった。

犯罪捜査のプロとして有名な彼はチェコに着いてすぐにプラハ警察を来訪した。プラハ警察は新任の署長がチェコスロバキア秘密警察関連の事件を追っており、警察署始まって以来のスキャンダルへの対応に四苦八苦していた。

ルンゲは署長からスークの事件のあらましを聞いたが、動機が薄弱であることを理由に彼が捜査員2名を殺害したことは否定した。ルンゲは古書店で購入した「なまえのないかいぶつ」の絵本を署長に託して翻訳を依頼した。返事は明日までとのことだった。

ルンゲはスークの友人に話を聞いた。友人たちはスークの無実を訴え、話の中でスークが口説いていた金髪の美女の名前がアンナ・リーベルトであることを知った。

次に彼は出版社を訪問して「なまえのないかいぶつ」の作者の手掛かりを求めた。作者には多くのペンネームがあり、その中のひとつの名義のスケッチブックが残っていた。そこには怪物の絵の元になったものや、妊婦のスケッチ、双子のスケッチが含まれていた。

という話。どうやらルンゲ警部がようやくヨハンとアンナの存在を確信し始めたようだ。

ヨハンがアンナの格好をしているのは、アンナのことを忘れないようにするためのようだ。現在のヨハンの女装はもちろん変装してチェコスロバキア秘密警察関係者に存在を知られないようにするためだが、小さい頃のヨハンの女装は薬物によってアンナのことを忘却させられることへの抵抗だった。

ヨハンは511キンダーハイムでは失敗作で、記憶を完全に忘却させられなかった人物だ。彼のアンナを忘れたくないという抵抗がのちにどんな影響を与えたのかが問題になるのか?

徐々に核心に近づいてきた。