「MONSTER」(2004年作品)第47話 感想(悪夢の扉) | 深層昭和帯

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チェコにやってきたアンナはディータとともにある通りに部屋を借りた。



するとその通りの人々は彼女を「アンナ」と呼んで親しく話しかけてくるのだった。もちろん彼女はその街に来たのは初めてであった。彼女はドイツ時代からずっとニナと名乗っていた。アンナという名前を知るのはテンマとヨハンだけであった。彼女は不気味なものを感じずにはおれなかった。

テンマとグリマーは、スーク刑事が収容されたはずの病院へ出向いた。そこには警備の者がおらず、容易に中へ入れた。ところが話を聞くと、そこにスークは運ばれておらず、襲撃者6名のみが運ばれ、しかもすぐに転院させられていたとわかった。

病院を出ると、そこには迎えの車が停まっていた。テンマたちに選ぶ権利はなかった。連れられて行った先には旧チェコスロバキア秘密警察の大物カレル・ランケ大佐が待っていた。ランケはテープと論文と引き換えにスークの身柄を引き渡すと提案した。

グリマーがそれを拒み、自分は511キンダーハイム出身者だからそれは出来ないと告げると、ランケは1枚の写真を取り出した。そこには子供の顔が写っていた。彼の甥だった。ランケは自分の甥を半ば騙されて511キンダーハイムに入所させていた。

帰り際にグリマーは思い出した。グリマーはランケの下へ駆け寄り、511キンダーハイムでランケの甥に会っていたことを話した。グリマーとランケは施設内でわずかな交流を持っていた。施設では日ごとに記憶が薄れていく奇妙な感覚に襲われていたために、仲間内で「自分のことを覚えていてくれ」と約束し合うのが流行していた。ランケに確かめると、確かにそれは彼の甥だった。

翌朝、旧チェコスロバキア秘密警察は彼らに接触してきた。グリマーはテープは渡せないがテープの声は聴かせられる。だが旧東ドイツの人間には売るなと条件を付けた。ふたりのやり取りに業を煮やしたテンマは、テープの声の主であるヨハンのことをふたりに話した。

秘密警察は3匹のカエルの看板が掛かった店から、ヨハンを連れ出した。犯行を行ったのはフランツ・ボナパルト大尉という人物だった。彼はたかだか大尉でありながらどこの部署にも属さず誰でも監禁する権限を持っていた。

フランツ・ボナパルト大尉こそ「なまえのないかいぶつ」の作者だった。

アンナは3匹のカエルの看板がある店の2階で、記憶倒錯に襲われていた。アンナは確かにその扉を開いて中に入って誰かの出迎えを受けた。同時に中で本を読んでいて自分自身を出迎えた記憶もある。彼女はどちらが本物の自分なのかわからなくなった。

という話。マジですごい。緊張感あふれる演出に痺れる。

やはり511キンダーハイムでは単に記憶を消すということではなく脳の改造に近いことをやっていたようだ。人間の人格を消して別の人格にするのではなく、人間以上のものにしようという神に近い創造主のような実験だった。

グリマーの中の怪物が目覚めるときの描写もそうだが、追い込まれると普段の記憶をなくして脳の機能が解除されたような状態になる。それが怪物の正体とみた。

しかしヨハンの場合はちょっと違っていて、常にリミッターが解除された状態というか、追い込まれなくても特殊な力が使えるとかそんな感じじゃないかな。