「MONSTER」(2004年作品)第49話 感想(一番残酷なこと) | 深層昭和帯

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グリマーを慕う養護院の子供たちは彼の無実を晴らそうと金髪の女を探していた。



するとひとりの子供がその女を発見した。直後その子は行方不明になってしまった。話を聞いたグリマーとテンマは、子供たちに案内された場所へと急いだ。だがすでに女装したヨハンは部屋から姿をくらましていた。誘拐された子供の姿もなかった。

誘拐された少年ミローシュはドイツ国境近くの売春宿の女だった。女装したヨハンは犯罪の証人である少年たちのひとりミローシュを生かしてはおかなかったが、同時にただ殺すこともしなかった。どの子にとって最も残酷な方法で殺すのがヨハンのやり方だった。

ヨハンはミローシュを売春宿に連れていった。そして彼ひとりを歩いて行かせた。ミローシュは母親の顔を知らなかったが会えばわかると信じていた。また母親も自分に会えばわかると信じていた。ヨハンは彼ひとりを母親のいる場所へ歩いて行かせた。

売春外の通りは醜いもので溢れていた。ミローシュは母親を探したが見つかるはずもなかった。少年が知ったのは、母親なんていないこと、自分は誰にも望まれなかったから孤児院に捨てられたこと、愛なんて嘘だということだった。

絶望したミローシュは川に身を投げようとしていた。駆けつけたグリマーが説得して彼を救出したけども、彼の心は変わってしまっていた。少年に絶望を教えるヨハンのやり方に本能的な拒絶感を感じたグリマーは、必死にミローシュの心を慰めようとするうち、忘れていた悲しみの感情を取り戻した。

という話。

グリマーの必死の説得にミローシュは心を取り戻したところで終わった。今回も素晴らしい話でしたよ。ヨハンとグリマーは同じように薬物によって作り上げられた心が空っぽの人間だが、アンナがそうだったようにグリマーも自分の名を持つひとりの人間として再生されつつある。

ヨハンの特殊性はアンナを忘れないようにしたためなのか、また別の何かがあるのか、いまだにわからない。