「剣風伝奇ベルセルク」(1998年冬作品)第19話 感想 | 深層昭和帯

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原作:三浦建太郎、監督:高橋ナオヒト、キャラデザイン:松原徳弘、制作:OLM TEAM IGUCHI。



第19話 別れ

旅立とうとするガッツを、鷹の団のメンバーが見咎めて引き留めようとした。キャスカはグリフィスを呼んでガッツに思い直してもらうよう頼んでもらうことにした。グリフィスは、剣の勝負に勝ち、ガッツを手に入れたことを思い起こさせようと、再び剣を抜いた。ガッツもそれに応じた。

勝負は最初の一撃に懸かっていた。グリフィスは完璧な間合いで飛び込んだが、ガッツのだんびらはグリフィスの細剣をへし折り、肩を斬り落とす寸前で止まった。グリフィスは初めて敗れることになった。荷物を手にしたガッツは、振り向きもせずに去っていった。

ガッツを失ったグリフィスは、心の穴を埋めるようにシャルロットの寝室に忍び込み、王女と知りながら肉体関係を結んでしまった。

その行為を、侍女が盗み見ていた。彼女は王に事実を伝え、激怒した王は兵を差し向けてグリフィスを捕らえた。

<雑感>

いよいよかぁ。「ベルセルク」と「グイン・サーガ」の関係や、暗黒の時代になってからの雰囲気が「トワイライト・サーガ」に似ていることはすでに書いたが、グイン・サーガがやり損ったのが、北の豹と南の鷹が出会い、世界の秘密が開かれるという預言シーン。

北の豹ことグインと、南の鷹スカールが出会ったシーン(101巻)で、何かが起こるはずだったのに、グインが記憶を失っていたために何も起こらず、肝心のシーンを書かないまま栗本薫氏は亡くなってしまった。

一方「ベルセルク」は、ガッツとグリフィスが袂を分かってすぐに世界の秘密の開示(蝕)を起こした。一部好事家の間で「栗本薫は、三浦建太郎の蝕の表現が強烈すぎて、スカールとグインの出会いのシーンを描くのを躊躇った、あるいは逃げた」とも噂されたものだが、栗本薫はそれしきで逃げるようなたまじゃないけれども、先にやられてしまったとの気持ちはあったはずだ。

北の豹と南の鷹は、グイン・サーガにおける「蝕」なのだが、作者が変わったのでもう描かれることはなさそうだ。

白泉社社長のマシリトが(馴れ馴れしい)、「ベルセルク」を評して、「蝕のようなことは漫画でやってはいけない」みたいなことをインタビューで話していたようなので、「あれはグイン・サーガの北の豹と南の鷹なのだ」と指摘しておく。