「剣風伝奇ベルセルク」(1998年冬作品)第20話 感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

原作:三浦建太郎、監督:高橋ナオヒト、キャラデザイン:松原徳弘、制作:OLM TEAM IGUCHI。



第20話 火花

修行の旅に出たガッツは、鍛冶師のゴドーとエリカの家に身を寄せていた。1年が経過し、またどこかへ流れていこうかとした矢先のこと、剣を大量に作ってほしいとの依頼がゴドーに舞い込んだ。話を聞くと、ミッドランドのウィンダムで反乱を起こしお尋ね者になった集団がいるという。

驚いたガッツはそのお尋ね者の名を訊いた。すると男は、鷹の団だとこたえた。

そのころ鷹の団は、長引く逃亡生活に疲れ果て、グリフィス救出計画もおぼつかないまま、先の見えない不安に包まれていた。鷹の団の団長代理を務めるキャスカも疲れ果て、ろくに眠っていないありさまだった。多くの者が隊を去り、残った人間も不安に押しつぶされそうになっていた。

そこに、残党狩りの集団が押し寄せてきた。鷹の団には多額の懸賞金が掛かっており、賞金目当ての傭兵や盗賊の類が彼らを狙っていたのだ。すぐに目を覚ましたキャスカは、的確に指示を与え、陣形を整えようとした。そこに敵が押し寄せ、脚を滑らした彼女は雑兵に乗りかかられてしまった。

一太刀で殺されそうになった彼女を救ったのは、1年前に団を離れて去っていったガッツだった。

<雑感>

Gyao!に追加されるのを待っていられないので、ここからはBDを視聴していくことにする。探すのが大変だったぜ。

「ベルセルク」の構成は、黄金時代編の蝕までが回想シーンで、そのあとが本編。冒頭に本編のシーンが少しあって、そのあと延々と回想シーンが続く。一般的には回想シーンはこれほど長くはならないし、回想シーンの最後に蝕なんてやらない。

グリフィスとガッツの因縁には必要だから、その因縁を丁寧に書いたのだろうが、あまりに蝕が強烈すぎて、因縁があるのはわかるが、読者は混乱したまま本編を読んでいくことになる。ただ、やりたいことはとてもわかる。失意のグリフィスが再生を願い、とんでもないものを身体に入れてしまい、人外になってしまったのだ。

グリフィスが人外になったことものちに語られる物語の伏線になっていて、人間のガッツが人間を超えるかのような狂戦士になっていき、仲間も人外ばかり、新生鷹の団と戦うには普通の人間の集まりではダメなのだと生まれ変わった邪悪なグリフィスが教えてくれる。

決してガッツはゴッドハンドと戦っているわけではない。幼いころからフェムトに目をつけられ、追い込まれて肉体を取り込まれてしまったグリフィスを救うのが彼の目的だ。幼魔の身体を使ってグリフィスとして転生したフェムトだけ倒せばいい。おそらくグリフィスはそれで死ぬのだろう。

蝕によって情報公開されたのは、ゴッドハンドや髑髏の騎士の存在で、そうしたものが人間の世界に影響を及ぼしていると提示された。第19話の感想でも書いたが、グイン・サーガの北の豹と南の鷹では、蝕のように世界の秘密の一端が判明するはずだった。構成としてはグインのように後ろに持ってくるのが一般的な、時限的な情報公開なのだという話。

序盤(といってもかなり巻数を要している)でやるのは極めて異例なのだ。