「どろろと百鬼丸」(1969年作品)第11話(ばんもんの巻・その三)感想 | 深層昭和帯

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多宝丸を総大将とした醍醐景光の軍勢は、ばんもんを越えて朝倉領内へと侵攻した。



いくさは待っていても終わらない。どろろは助六に両親に逢いにいけと勧めた。最初は見張りの侍を恐れて腰が引けていた助六だったが、母に逢いたい一心でどろろと一緒にばんもんを越えることにした。

力を合わせて見張りの1人を倒したどろろと助六は、ばんもんの境を大きく越えて朝倉領内へと入っていった。だが醍醐景光によって往来を厳しく制限されていた国境を無事に通り過ぎることはできなかった。追手はふたりを追い詰めた。

侍の投げた槍を奪って奮戦するどろろは、先に助六だけ村に戻れと言った。逡巡する助六だったが、このままではふたりとも捕まってしまう。彼はきっと会いに来いとどろろと約束して走って逃げた。

矢で身体を射抜かれたどろろは、ついに醍醐景光の家臣に捕らえられてしまった。

どろろはばんもんへと連行された。どろろは助六のことが気掛かりだった。

すると朝倉領から大勢の人間が縄を掛けられてやってきた。その中には助六の姿もあった。彼の両親はとうの昔に殺されていたのだ。どろろは彼に逃げろと叫んだが、親のいない自分にどこへ逃げろというのかとの助六の応えに窮してしまった。

助六は見せしめのために殺された。多くの人間も同じだった。だがどろろだけは必死に逃げ出した。多宝丸は逃げるどろろをいたぶるように追い詰めた。

多宝丸にとって侍以外の人間はみんなクズ同然であった。そんな驕り高ぶった多宝丸は、助けにやって来た百鬼丸をも見くびった。多宝丸は百鬼丸を片輪と罵り、笑い者にした。そこに九尾の狐が姿を現して百鬼丸に真実を教えた。自分を片輪にしたのは父の醍醐景光、多宝丸は実の弟だというのだ。

悩み苦しむ百鬼丸の隙をついて、多宝丸が斬りかかった。しかし百鬼丸の腕の刀が多宝丸の身体を貫く方が早かった。百鬼丸は弟の多宝丸を殺してしまった。百鬼丸は意識を失う前の多宝丸にそれを伝えたが、多宝丸は信じることなく唾を吐きかけてから死んだ。

という話。これ、絶対に出崎だろと思ったらやっぱり出崎統だった。万代の巻の富野由悠季(当時は喜幸)もそうだが、やはり癖がある。

「どろろと百鬼丸」には富野由悠季、出崎統、高橋良輔、石黒昇など錚々たる面々が演出している。やはりアニメは絵じゃないんだよなぁ。

虫プロは映像面より文芸面でとんでもない才能を多く世に送り出している。