「どろろと百鬼丸」(1969年作品)第12話(白面不動の巻・その一)感想 | 深層昭和帯

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醍醐景光が自分の身体を悪霊に売り渡した父であり、自分が斬った多宝丸こそ実の弟だと知った百鬼丸は、驚きのあまり前後不覚となってどろろを残して走り去ってしまった。



走り去った先で琵琶法師と再会した百鬼丸は、悪霊を退治する気が萎えてしまったのは悪霊の思う壺だと聞かされ再び魔物退治に執念を燃やした。

百鬼丸とはぐれたどろろがあてどなく歩いていたところ、悪霊に憑かれた女が顔を変えて近づいてきた。女はどろろの母おじやと同じ顔を作ってまんまと騙し、滝の傍にある自分の家に案内した。滝の奥には白面不動の像があり、滝に打たれる行者が身体を休める小屋が彼女の家だった。

母に似た女にすっかり騙されたどろろだったが、犬のノタだけは女の正体を見抜いて決してなつこうとしなかった。どろろに小屋から追い出されたノタは、隙をみて小屋から出た女の後を追って滝の前へとやって来た。すると女は狼を手下に使って修行中の行者を滝つぼに突き落としてしまった。

女の正体は顔のない白面不動に仕える悪霊であった。気に入った顔を求めて次々と行者たちを殺していった女は、顔のない死骸を年中氷の解けない洞穴に隠し、白面不動の命ずるまま、人を殺しているのだった。ノタは滝壺から行者を助け出したが、女は狼を遣って行者から顔を奪った。

女が、新しい顔は気にいったかと尋ねると、白面不動は憤怒の表情となって不満を表した。

女は次は子供の顔を献上すると白面不動に約束した。

という話。後半からギャグになると聞いていたが、12話まではまだそんな気配はない。犬のノタの使い方も悪くないし、やはりタイトルが変わってからギャグになっていくのかもしれない。

滝の奥にある白面不動と洞窟がある場所と、行者たちの休憩小屋の距離をもっと詰めるとおそらく迫力のある演出になったはず。ノタは気づいたがどろろは母の面影に惑わされて悪霊の正体に気づかない部分と、狼を使って人間から顔を奪う場所を遠くに分けすぎている。

どろろのすぐそばで女の悪事が展開されると緊迫感が増したはず。