「どろろと百鬼丸」(1969年作品)第7話(妖刀似蛭の巻・その一)感想 | 深層昭和帯

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第7話は、魔物に憑りつかれた男と百鬼丸の一騎打ちから始まる。



仁木田之介は百姓から足軽に取り立てられた村の出世頭であったが、殿から拝領した妖刀似蛭に憑りつかれ、人斬りの身に落ちてしまった。

彼は悪霊に引き寄せられてやってきた百鬼丸と対決し、念力合戦に敗れて気を失ってしまった。

百鬼丸は妖刀のただならぬ気配を察知してその場を離れようとしたが、天下の大泥棒を自称するどろろは仁木田之介の妖刀が気になって仕方がない。盗もうとすると百鬼丸にこっぴどく叱られたが、そんなことでめげるどろろではなかった。百鬼丸の目を盗んで決闘の場に戻ると、立ったまま気を失った仁木田之介の手から似蛭を奪い取った。それは見事な剣であった。

どろろとはぐれた百鬼丸は、しばらく行方を捜したがやがて遠くへ去っていった。どろろは戦利品に夢中になった。だが、徐々に様子がおかしくなってくる。

妖刀似蛭から「血を吸いたい」との声が聞こえ始め、矢も楯もたまらず何かを斬りたくなった。近くにいたのは、仲間の子犬ノタだった。どろろはノタに斬りかかった。ノタが逃げ込んだ先の野犬に取り囲まれると、すべて斬り殺した。

ノタは寺へ逃げた。そこには祈願に来た父娘がいた。どろろはすぐに斬りかかり、父に大怪我を負わせた。だがその娘おすしの懐にあった護符の威力に負けて娘は殺せなかった。

どろろは近くの村に殴り込んで、手当たり次第に人を斬った。村人は気狂いの少年に怯えて家に立て籠った。おすしもその村の人間だった。彼女は護符を懐に入れたまま、父のために血止め薬を貰いに出かけた。そこで再びどろろとまみえ、どろろが決して悪い少年でないことを知った。

おすしは飯屋に逃げ込んだ。そこにいたのは、5年前足軽になるために家を出た兄の仁木田之介だった。田之介は妹や家族との再会には顔色ひとつ変えず、妖刀似蛭を取り返すことに執着した。

という話。

1969年の手塚プロのアニメは、アニメとしてのレベルは正直言ってかなり低い。劇場版の製作から始めた東映動画とはアニメーターの技術がまるでお話にならないくらい違い過ぎている。

それでもこのアニメには不思議な魅力がある。やはり、悪霊に身体そのものを奪われ、それを取り返すという設定が魅力的過ぎるのだろう。そこにどろろというさらに魅力のある少年が関わってくるから、納得できるラストを求めてしまうのだ。