「どろろと百鬼丸」(1969年作品)第5話(無残帖の巻・その一)感想 | 深層昭和帯

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どろろの過去編。野党の頭目だった父がイタチに裏切られ、仲間の元を追われるところまで。



確かこの物語の舞台は北陸だった気がする。北陸は一向一揆が激しくて、坊主ばかりが威張り散らかしてまともな統治がされてこなかったから、一揆は起こるわ、野党がはびこるわ、悲惨なところだったんだよな。前田家も最初は鬼のように思われていた。

ところが鬼のようなのは逆らって戦う人間に対してだけで、普通の農民には優しかったのですぐに受け入れ、そこからあまり戦に巻き込まれなくなった。戦争中も空爆を逃れて、いまでは観光地。佐々家が治めたところは一揆が頻発していたんだっけか。

反権力なんてものは昔からロクでもなかったということだな。まともな統治機構を持つ方がはるかに人に優しい。アナーキズムはむろん、坊主の統治もロクなものじゃない。

比叡山焼き討ちは正しかった。

手塚の作品は古いものなのでそうは描かれていないが、侍しか襲わない野党などあるわけなく、「七人の侍」のように野伏は農民を襲撃していたのだ。

作品上の欠点としては、どろろが本名になってしまっているところ。自分の子にどろろなんて名付けるはずがない。古い作品は細かいところはいい加減なのだ。