「祈るひと」(1959年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

滝沢英輔監督による日本のドラマ映画。出演は月丘夢路、芦川いづみ、金子信雄。

 



<あらすじ>

冷徹で家庭を顧みない父親に育てられた三沢暁子は、結婚を躊躇していた。彼女も見合いをさせられたが相手はすぐに帰宅してしまうなど父のようで、約束は交わしたが行く気にはなれず彼女はすっぽかした。すると男はとても怒って彼女を責めた。

大学教授だった暁子の父は、学校では明るいと評判だった。父の死後、母は家に男を連れ込んでおり、彼が一家の経済的な支援をしていた。もしかしたら、ふたりは父の生前からの付き合いで、父はそれを知って家に寄り付かなかったのではないか、そう暁子は考えるようになった。

見合いの男はすぐに結婚を申し込んできた。考えた挙句、暁子は断った。すると男は激高して、彼女が母の愛人庫木の子で、見合いの相手はそれを知った上で、むしろ利用しようと考えて結婚を申し込んだのだとわかった。なぜ父が自分に冷たく家庭を顧みなかったのか、暁子は事情を知った。

暁子は家を出て独立することにした。

<雑感>

この作品もなかなか面白いドラマであった。不貞の母から離れると同時に、母の幸福を祈る娘の話だ。毒親にとっては都合のいい娘ということになる。父親の悪口ばかり聞かされて育った娘とか、下半身が緩くてセックスのことばかり考えている母親に育てられるとか、地獄で生活するようなものだ。

男も両親がバカだと性格が歪むが、女は共感力が高いのでバカな親、バカな友人、バカそのもののテレビなどの影響をもろに受けて脳に損傷を負う。共感力の高さは諸刃の剣なので、弱点を把握しておいた方がいいよな。

☆5.0。暁子の場合は、結婚したふたりの友人(疎開先で一緒だった)が常識的で一途に人を愛する人だったために、母の悪い影響から早く逃れることができたってことだろうな。