「十六文からす堂 千人悲願」(1951年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

萩原章監督による日本の時代劇映画。出演は黒川弥太郎、市川春代、ハヤフサヒデト。

 



<あらすじ>

南部藩の重宝が奪い去られ、藩の命運を賭けた奪還作戦が秘密裏に開始された。密命を帯びて重宝の在処を探っていた易者からす堂は、お柳という女性を助けた際に彼女の父親安五郎を殺した犯人を一家総出で探していることを知った。調べると重宝を盗んだ犯人が安五郎。だが彼は頭巾の侍に頼まれ盗んだのちに殺されたのだという。

知り合いの料理屋の娘お紺の元に通う武士こそその男。彼は津軽藩にその重宝を売り渡そうと画策していた。からす堂は密偵を放つが逆に捕らえられ、お柳さえも奪われてしまった。絶体絶命の危機であったが、捕らえられていた密偵が命からがら逃げだし、からす堂に敵のアジトを教えた。

勇躍乗り込んだからす堂は、ちぎっては投げちぎっては投げの大活躍。アジトを脱出した頭巾の侍を追いかけ、断崖絶壁に追い詰める。するとこの男、からす堂に討たれるは本意でないと断崖より身を投げ、死んでしまった。こうして南部藩を揺るがせた大事件は幕を閉じた。

<雑感>

いかにもチャンバラ映画然とした作品。易者の浪人からす堂には次々に美女が集まってくる。エンターテインメントとして素晴らしい出来であった。

のちに文芸映画が流行してこうした活劇物は評価されなくなる時代が来るのだが、活劇も映画の魅力のひとつ。いま観て楽しめるのは当時評論家に見向きもされなかったこうした作品の方である。

寡聞ながらこの作品の存在を知らず、これが初見。主演の黒川弥太郎は当時の売れっ子俳優ながら、主演はそれほど知らない。現在アマゾンには新東宝と大映の作品が多く追加されているので、黒川弥太郎の出演作はかなり多いとわかる。

☆4.8。当時の映画女優さんはみんな美しい。男性陣も主役は眼がぱっちりしていて、目力がある。文芸映画のクソみたいな人間観よりはるかにまともである。