「乞食大将」(1952年作品)感想 | 深層昭和帯

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松田定次監督による日本の時代劇映画。出演は市川右太衛門、月形龍之介、中村芳子。

 



<あらすじ>

宇都宮鎮房との戦いに敗れた黒田長政だったが、後藤又兵衛の夜討によって形勢を逆転させると鎮房の子花若と鶴姫を人質にした。長政は人質を使って鎮房をおびき寄せ、だまし討ちにする算段をつけるが、又兵衛はこれを不服としてやってきた鎮房と果し合いをしてこれを討ち取った。

手柄を上げた又兵衛であったが、果し合いに持ち込んだ責を取り、花若と鶴姫の助命を嘆願すると長政の元を去った。又兵衛を慕う臣下とともに諸国を放浪した彼は、徳川と豊臣の最後の決戦を聞きつけ、あえて豊臣方にて参戦。徳川方で参戦していた鎮房の子花若にわざと討たせて手柄を立てさせた。

<雑感>

主人公は後藤又兵衛こと後藤基次。原作は大佛次郎。黒田家出奔の原因を宇都宮鎮房との戦いに求めているのが特徴だ。しかしどこが「乞食大将」なのかよくわからないまま推移していた。家臣団の数も多すぎるし、史実とはかなり違って大阪まで一直線である。

1時間少々の短い映画なので、豪傑後藤又兵衛が、いくさに大敗して髪を切った黒田長政を励まし、騙し討ちをしようと画策する主君を諫めるかのように一騎打ちを求め、その因果を断ち切るために花若に「この兜を目印に」とわざと討たせる。そんな豪傑だったのだよと講談風に語っているのだろう。

大佛次郎っぽさがほとんどない。

☆3.9。時代が時代だけにそれほど芸術性を求めてはいなかったのだろうし、GHQの検閲もあってこうした封建時代の作品は作りにくかったと推測される。