「その愛を走れ」(2012年作品)感想 | 深層昭和帯

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フェルナンド・ゴンサレス・モリナ監督によるスペインの青春映画。

 

 

「空の上3メートル」の続編で2年後という設定。

友人が死んで国外に脱出していた主人公が地元に舞い戻ってきて、新しい彼女候補と出会う。しかし彼は前の彼女のことが忘れられずにいた。テレビ局で働き始めて社会人の自覚が少しだけ芽生えてきた彼の前に死んだ友人の彼女から連絡があり、自然消滅ではなくちゃんと決着をつけようという話になる。

元カノと新しい恋人候補の間で揺れ動く主人公。そして古い記憶をスカッと一蹴して、新しい恋人と結ばれるが、実はその新しい恋人はずっと前から彼のことが好きだった。みたいな。

このど真ん中に135キロの速球を投げ込む勇気。見習いたいものです。

とにかく前作「空の上3メートル」といい「その愛を走れ」といい、完全に70年代です。何もかも70年代で、監督に変なこだわりがあるようにお見受けした。ここまでやるのは逆にすごい。

現代人が見ても何の参考にもならない映画であるが、青春映画とはこういうものだったろう! という強い信念だけで撮り上げている。日本の昔の青春映画もこんな感じのばかりでした。そういう時代へのオマージュだけで成り立っている作品です。

演出が素晴らしく、変な没入感で70年代に誘われる作品。青春は誰にもあるものなので、普遍的な面白さがありました。