新築ワンルームマンション投資は「やめとけ」──節税にも保険にもならない、買ってはいけない理由
最近、「会社員でもできる不動産投資」「自己資金10万円から始められる」「節税しながら老後資産をつくれる」といった言葉をよく聞きませんか?
特に新築ワンルームマンションの営業は、20代〜40代のサラリーマンを狙って毎日のようにセミナーや電話をしています。
でも結論から言えば、新築区分ワンルームマンションは“買ってはいけない投資”です。
なぜなら、これは「節税にもならず」「保険にもならず」「融資も続かない」──つまり“情弱ビジネス”の典型だからです。
◆ 営業トークは「安心」と「節税」から始まる
私のところにも、過去に何度も営業電話がかかってきました。
「老後の安心資産を作りませんか?」
「節税になりますし、保険代わりにもなります!」
「今なら頭金10万円でOKです!」
こんな話を聞くと、「自分も始めた方がいいのかな」と思ってしまう方も多いでしょう。
でも、営業トークを冷静に分解していくと、ほとんどが数字のマジックです。
◆ “節税になる”は本当か?
不動産投資の節税効果としてよく語られるのが、「損益通算による所得控除」です。
つまり、家賃収入が赤字なら給与所得と相殺でき、税金が安くなる──という仕組みです。
一見お得に見えますが、実際は違います。
なぜなら、節税=現金が増えるわけではないからです。
赤字を出すということは実際に手出しがあるということ。
お金を減らしてまで税金を安くするのは本末転倒です。
さらに、不動産の減価償却で一時的に節税できたとしても、将来の売却時に「譲渡所得税」で回収される可能性もあります。
節税効果は“その年だけ”の見かけ上のもの。
長期的に見れば、節税どころかトータルでマイナスになる人の方が多いのです。
◆ “保険代わりになる”という営業トークの真実
営業担当がよく使うもう一つのセリフが、「団信(団体信用生命保険)に入るから、万一のとき家族が安心ですよ」というもの。
確かに、ローン契約者が亡くなればローンは保険で完済されます。
でもそれは「不動産という資産(+リスク)」が残るだけ。
築年数が経てば家賃は下がるし、管理費や修繕費は増える。
入居者対応やリフォームも必要です。
つまり、残された家族が安心するどころか、負担になるケースもあるのです。
生命保険のように「現金がすぐ支払われる」わけではないため、保険の代わりにはなりません。
◆ 「頭金10万円でOK」はカラクリがある
自己資金が少なくても始められる──というのは、多くの人に刺さる言葉です。
でも、そのローンは「提携ローン」で金利が高めに設定されています(2〜3%前後)。
さらに35年ローン。
月々の返済が少ないように見せていますが、トータルでは支払い総額が大きくなります。
家賃収入から管理費、修繕積立金、固定資産税を引くと、実際の手残りはほぼゼロ。
むしろ、毎月2〜3万円のマイナスになることも珍しくありません。
そのうえ、金利上昇や空室、家賃下落が重なると、一気に赤字。
「長期ローンで安心です」という言葉ほど、危険なものはないのです。
◆ 2〜3戸で融資が止まる
営業トークでは「2戸、3戸と増やせば家賃収入が増えて安定します」と言われます。
しかし実際は、2〜3戸で融資がストップします。
理由は簡単。
銀行が見るのは「返済比率」ではなく、「物件の担保価値」だから。
新築区分は利回りが低く、担保評価が下がりやすい。
つまり、銀行から見て“貸す意味がない資産”なのです。
そのため、結果的に「1〜2戸だけ買って終わり」。
しかも売却時にはローン残債を下回り、マイナスで終わることもあります。
◆ サブリースは「保証」ではなく「減額リスク」
「空室リスクを避けるためにサブリースをつけましょう」と言われたことがある人も多いでしょう。
確かに、家賃保証と聞くと安心感があります。
しかし、実際には保証賃料は固定ではありません。
数年ごとに「家賃改定」があり、保証家賃が10〜20%下げられることもあります。
更新時には再契約料を請求されるケースも。
さらに、退去時の原状回復費・リフォーム費などはオーナー負担。
つまり、「空室ゼロ」ではなく「利益ゼロ」という状態になることも多いのです。
◆ 売れない、出口がない──最大のリスク
新築ワンルームは、購入直後が価格のピークです。
築10年を過ぎれば、売却価格は半値近くまで下がります。
「家賃でローンが返せる」と言われても、最後の出口で損をすれば意味がありません。
不動産投資の世界では、「買うときに勝負が決まる」と言われます。
つまり、高値で買えばどれだけ頑張っても取り戻せないのです。
◆ なぜ、こんな商品が売れ続けるのか?
理由はシンプルです。
販売会社が儲かる仕組みだからです。
不動産会社は、新築販売時に3〜8%の販売利益を得ます。
さらに提携ローンや管理委託、保険の紹介料なども。
つまり、あなたが契約した瞬間に“会社の利益”は確定しているのです。
一方、オーナー側は35年間、リスクを背負い続ける。
不動産会社にとっては「売った瞬間がゴール」、
投資家にとっては「そこからがスタート」──構造が真逆です。
◆ じゃあどうすればいいの?
私は不動産投資そのものを否定しているわけではありません。
問題は、「仕組みを知らないまま始めること」。
正しい順番を守れば、不動産は“守りの投資”になります。
- まずは固定費を下げ、貯金体質を作る
- インデックス投資などで複利を回し、資産を増やす
- 十分な自己資金を持ってから、不動産(できれば一棟)に挑む
このステップを踏めば、ローンに依存せず、安定したキャッシュフローを築けます。
◆ 情報格差に気づこう
結局のところ、新築区分マンションが売れ続けるのは、「情報格差」があるからです。
営業担当は、不動産知識のない会社員をターゲットにして、「節税」「保険」「老後安心」というキーワードで心理を突いてきます。
でも、情報を持つ人ほど買わない。
知識がある人ほど手を出さない。
これが現実です。
「情弱ビジネス」から抜け出す一番の方法は、自分で勉強すること。
◆ まとめ:「安心」は他人から買うものではない
お金の安心は、誰かに売ってもらうものではありません。
自分で学び、自分で仕組みを作るものです。
もし営業から電話が来ても、こう言いましょう。
「私は仕組みを理解してから投資します」と。
それだけで、あなたの未来は大きく変わります。
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