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たんぽぽが咲いた。
朝は頑に閉じていたのに、だんだんとひらいて花を広げる。
何を感じているのか解らないけれど、ちゃんと何かを感じて起きている。

昨日の新聞で、裁判官が法廷でした私的な発言を集めた本を紹介していた。
その中で、ストーカー犯罪を犯した被告にある裁判官は、こう言った。
『心から人を愛するならば、自分の気持ちに忠実なだけではだめだ』

犯罪を犯さなくとも、誰にでも思い当たる言葉。
相手の幸福を願うのならば、自分の気持ちだけではダメなときがある。
白黒させたいときにでも、グレーで納得しなければならないときがある。
そのときに、一番の解決方法は何だろうか?
答えは、きっとみんな違うんだろうな。

時々、無性に無意味を感じることがある。
何度と無く干す洗濯物を、あたしは一体あと何度干せば終わりが来るんだろう、とか。
食べられなかったご飯を、あたしが何度食べたら誰かが食べてくれるのだろう、とか。
何度も何度も繰り返されることが、ときどき何の意味があって繰り返さなければならないのか、
本当に解らなくなる。

そして、ポツンと、解ってしまう。
あたしは、家族を愛しているからしてあげたいのだ、と。
何度も何度も、してあげたいんだと。
あたしが出来る、最大の限りでやるのだと。

ただ、そうであってほしいのは。
あたしが何もしなくても、何の役に立たなくても、
それでも、どんなときでさえも、必要として欲しい。
ずっと、ずっと、あたしを必要だと言って欲しい。
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家のテラス前の庭に、つくしが育っている。
春だと思ってたのに忘れたように冬がやってきて、怒られた気がした。
本当は、冬が主役なはずだったのに私を失ってしまう気かい?と。
それでも矛盾して、春を告げるつくしを愛おしく眺めてしまう。

母の病院は横須賀にあって、あたしが行くといつも天気がどんよりしている。
寒くて、暗くて、沈んでしまうような気持ちにさせられた。
ある日のお見舞いに行った帰り、どんより雲に覆われた空から青空が見えてきた。
あの一線を引いたような空模様は、何でも出来るような気にさせられる。
どれも必要な空なのに、ときどき鬱陶しくなる天気に嫌気がさす自分の勝手さに気付いた。
あーぁ……




あたしはよく笑われた。『男の人を守りたいと思う』ということに。
いつも働いていて可哀想だから、あたしが代わりに働いていく。
いつも強くなくちゃいけないから、あたしがもっと強くなる。
泣いてはいけないのなら、あたしがその分、泣いてあげる。
それじゃダメなのかな?

あたしはよく言われた。『男に産まれた方が良かったね』と。
そうかもしれない。そうだと思う。そうだったら良かった。
けれど、女でもいい。
あたしは男を憎んでいるわけじゃない。
男が泣いたっていいだろう。
女が稼ぐ家庭だっていいだろう。


男の価値は、仕事や給料ではない。
女の価値は、家庭的なことではない。


ただ、それだけなのに。
あーぁ……
今週末、母が入院します。
家から少し遠い横須賀まで、何度も行くことになりそうです。
母は独りだから、姉妹で交代しながら看ることになりました。
とは言っても、重病ではないのでご心配なく。

ただ、なんとなく不安なのです。
もちろん手術を受ける母の方が不安は大きいと思います。
でも、いつまでも健康ではいられない、ということが
こんなに早く来るとは思わなかったのです。
母がそんな歳になった、ということが
考えてたより、ずっしり来ました。


あたしが今まで生きてきた中で、
母が入院することは一度もありませんでした。
少し丸くなった背中をみながら、思いました。
もっともっと、年を重ねた母を見てみたい。
しわくちゃになって、頭がフワフワの綿菓子みたいになって、
小さな孫の相手をする年老いたおばあちゃんになった母を。


そのために、母は入院します。
あたしは何度だって、横須賀に行きます。
母に、しわくちゃな可愛いおばあちゃんになってもらうために。