爬虫類が真夜中に呼吸する
形容詞とはだいじなものである
爪は凶器にもなりうる
ゆず蜜はかわいくない
蠟は溶けるときに匂いをさせる
冷蔵庫は冷やしすぎてはいけない
物事はすぐに変化する けれども感情は変化できない
彼女はうつくしくわらう
彼は指だけですべてをつなぎとめる
胸は騒ぐ
小箱
メランコリーの中を/たゆたう/たゆたう/ようにして/蠟の匂いに/白い椅子に/小さな部屋のすみに/薬指に/鎖骨に/まどわくに/はなれないはなれない/まるで誰かの/すすり泣きのような/遠くで何か/鳴る/落ちる/閃く/残響音
かんかく この手が今触れている、或いはあなたと私の間の
感覚的である瞬間 感覚器官の話
匂い音手触り味
匂いが一瞬一瞬で混ざって変わってゆく感じ
空気に触れて揺れる感じ
音音音音の洪水
そこに空間を作ってしまうようなそんなような
気持ちが良すぎてその音の中で死んでしまう そんな妄想をする
それは色にしたら青それでいて金色、うすいうすいヴェールのような金色
金色の手触り もくもくしたさわり心地のある てろんてろん ふうわんふわん だいすきだったのはタオルケットのあの感じ匂い
二色のソース二色のスパゲッティ
食材を食事をたいせつに
どんなに悲しいときでも、それを食べたら元気になる、だからネーミングは絶望スパゲッティ
食べ物はひとを満たす 抽象論でなく満たす
その満ち足りた感じはやっぱりもくもくしてる感覚につながる 決して冷たいうつくしい感動とは違う
野暮ったいやわらかい輪郭のぼやけた感じ それがたとえ高級レストランのフルコースであったとしても
感覚器官の話をしたいしたいしたい
抽象的でしかないけれど、でもそれは抽象論とは違う 抽象論なんてだいきらい
あなたの第七官界は何をどうやって感じるの?
そんな話をしたいしたいしたい
感覚は開きっぱなし
そういうときって確実に精神衛生上よくないときね
憂鬱なきぶんのときにきっと身体はからっぽになるから、すっと、本当に自然に雨の音が身体に入ってしまう
そしてわたしの身体は音をたてずに泣き出してしまう