矮小化した都知事選を国中が騒ぐ、何で? | 明日通信

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 大阪や和歌山や群馬や栃木と同じ東京と言う自治体の知事選ということになれば巨額の税金を投じて、多くの売名者に利用の場を提供して実施する価値なんてあるのかな、バカバカしく眺めていた東京都知事選だった。

 

 純都知事選という視点で僕が質問を受けた際、「小池さんが次点候補(ここは読み違え蓮舫さんと見ていた)に100万票以上の大差をつけて当選する」と返事した。

 

 東京が抱える将来にわたる本質的な問題、課題を隠し、目先の改革を並べたてれば8年も都行政に携わった現職が断然強い。それにステルス支援といわれる自民、公明、それに小池さんが実質オーナーの都民ファーストの会の組織票が基礎票になれば2位以下の候補者との票差を読むのは難しくない。

 

 もう一つ、小池さんが知事職を優先し合間に選挙運動、このパフォーマンスで候補者同士の討論会を避けたのは、学歴詐称問題だけでなく行政の失点や裏話を表に出されマイナスに働くからだったのでは。その意味で討論から逃げ切った小池さんの戦略的勝利だったということができる。

 

 しかし、それもこれも選挙戦術、小池さんはズルいけど法や制度的間違いをおかしたわけではなく、ある意味、「小池さん、巧みだったねえ」だろう。

 

 ただ、問題はますます強まる「東京一極集中」という日本が将来に向って抱える課題を、「わたしは東京と言う一つの自治体の首長。他の自治体を巻き込んで考える必要なんてない。言われる筋合いはない。将来、そのために行き詰ったらその時はその時の都知事が考えること」と反論するに違いない。

 

 それより一極集中で得られる潤沢なカネで子育て支援に高校の授業料を無償化しましょう、高齢者に補助や支援で手を差し伸べましょう、大地震や天変地異に都民を守るためカネを使いましょうと大盤振る舞いで都民の気を惹き付けているけれど、一極集中によりマンションは億円単位に跳ね上がり、若い人たちは東京にやって来たけど購入するには高価過ぎ手が届かない、住めないという悲劇が起こりかけており、この問題の将来への派生は東京の経済や生活を窮迫させ、そのとばっちりを地方が負わなければならなくなる日がやってくるということだ。

 

 東京はそれだけ重い責任を持っており、東京の政治、経済、暮らし、国際交流と広い視野で“経営”に取り組まなければならないということだ。

 

 これに近い問題を指摘したのはTBSサンデーモーニングの寺島さんと元大阪府知事でコメンテーターの橋下さんくらいではなかっただろうか。

 

 都民だからその問題は「知らない」ではなく、自分たちの子世代、孫世代の幸せを願うなら、その問題を考えた候補者選びが必要ではなかったかなと思う。

 

 蓮舫さんには東京に端を発し、日本動かす程の大きなテーマがなく、ただただ小池さんの矮小化されたテーマの反論に終始したのが都民にそっぽを向かれたのではなかったかね。

 

 その意味では次点の石丸さんの方が地方行政の経験から東京の“経営”を語った分、若い都民に熱意が届いたといえる。

 

 しかし大変申し訳ないのですが、アホくさい都知事選でした、というしかありませんね。