貴乃花親方が、弟子の貴公俊の付け人に対する暴行発覚で、相撲協会に“全面降伏”してしまった。
弟子で幕内力士だった貴ノ岩が、山陰へ巡業中、モンゴル出身力士の集まりで横綱日馬富士（当時）にカラオケの器具で暴行を受け、頭を縫うほどのケガをした事件を警察沙汰にしたことから、日馬富士が引退し対立騒動が大きくなった。
事を荒立て大きくしたくない協会側、暴力沙汰を通じて古い体質に異議を唱え、正そうとする貴乃花親方。貴乃花親方は相撲協会の多勢を相手に、時には非常識と思える行動。告発や不作為、つまり協会役員として役割を担う立場にありながら義務を果たさない行動などで抵抗してきた。人気者のその行動を応援する世の中だったが、いくらなんでもと、あまりな頑なさに批判も起こりつつあった。
そんなさ中、それも本場所中に弟子である貴ノ岩の付け人暴行で負傷させる事件が起きた。即、反応したのは貴乃花親方。「暴力ノー」を常に口にし、弟子が暴行を受けて告訴し、あえて協会と対立したのに、自らの部屋内で同種の事件が起こった。「車運転はいいけど事故起こすなよ。ルールを守れよ」と言っている本人（身内）がルール違反し事故を起こしたようなものだ。
立つ瀬がない。「悪うございました。謝ります。反省します」と声を上げた。どうしてスグ、反省の姿勢を示したのだろうか。相撲界の古い体質を正す以前に、弟子の貴ノ岩の引退を防ごう、古い体質を正すにも自分も相撲界から引退したら何もできなくなるとかんがえたのかも。
その傷ついた貴乃花親方に対する恨みつらみ、これまでの反協会行動をこの際とばかり寄ってたかって叩くことになった。協会基準、常識からすると「数えきれないほど違反がある」、まず役職の降格。一番下の年寄を言い渡した。元横綱が新米社員になり、雑巾がけ、切符のもぎり、荷物運びをやれ、というほどのある意味、蹴落とし方だ。
貴乃花親方もそれで納得したのだから、仕方がないが、意義や文句をいう人間がいなくなってしまった。古い体質が浮かび上がり、改革しかけたのに、再び、水底へ隠れてしまった感がありはしないだろうか。
仮に、日馬富士の時のような頭を縫合するような負傷事件が起きた（貴ノ岩の暴行は唇を負傷）際でも内密裡に納め、暴行を日常化させてしまいかねない。それで協会や相撲の世界が守れるならいいじゃあないかではない。相撲が世界に開かれたスポーツになりつつあるのだから、古い体質で改めることがいっぱい。貴乃花親方が、時には非常識と指摘されながら抵抗し、これをきっかけに改まっていくと期待していたのに。貴乃花親方にもちょっと悪たれをしてガンバッテほしかったなーと思うネ。