帰ってから、予定通りの社会人生活が始まった。


当時は就職1年目で新人の立場で長期休暇を

希望することは難しく、ネパールに行くことも

夫に会うこともできなかった。


この仕事を1年で辞めて、ネパールに行こう。


ネパールをもっと知りたい。

夫のことももっと知りたい。


私はスッパリ1年で退職し、ネパールへ飛び立った。


幸い、いつもの次姉が新しく家を建て、

部屋があるのでと言ってそこに住まわせて

くれることになった。


夫とは別々に過ごすことになり、次姉を含む 

家族の誰一人として私達の関係に気づく人は

いなかった。


しかし、いい年頃の独身の夫と、珍しい旅行者

ではない若い日本人女性が少しでも一緒にいると、

近所のおばちゃん達の格好の餌食となったのだ。


「一番下の坊っちゃん、姉さんとこにいる、

日本人と結婚しちゃうんじゃないの〜」


「二人で抱き合ってるとこ見たよ」


そうなると、あることないこと噂話が

あっという間に広がっていった。


次姉は日本から帰国後、日本のライオンズクラブ

の援助でカトマンズで学校を作り、

私はその学校の運営を手伝っていた。


しかし、夫との噂が広がり、ついに次姉から

引導が渡されてしまったのだ。


「一番下の弟は、もうすぐ結婚して、この家で

私と一緒にお嫁さんも住むことにしますので、

ミッキーは日本に帰って下さい」


11ヶ月間の私のネパールはここで終了。


帰国後、私は次姉をはじめ夫の家族から

さらに激しく嫌われることになる。